2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NRF2を介したミトコンドリア電子伝達系遺伝子の発現制御機構の解明
Project/Area Number |
05J12131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 立平 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子生物学 / 細胞生物学 / ミトコンドリア / 転写制御 / 転写因子 / クロストーク |
Research Abstract |
転写因子NRF-2に結合し、NRF-2を介した転写に影響を及ぼす因子を探索する実験を行った。ヒト腎臓由来の腫瘍細胞であるHEK293T細胞に、二種類の精製タグを付けたNRF-2のαサブユニットまたはβサブユニットを発現させ、細胞抽出液からタグによるアフィニティ精製(TAP法と呼ばれる)を行って、NRF-2αまたはNRF-2βの結合パートナーを同定する実験を試みた。 まず、タグの選択を行った。タグの用件は二つ考えられ、立体障害などの問題をクリアして、精製がうまく行くかどうか、タグの付加によって蛋白質の機能が損なわれないかどうか、である。蛋白質の機能が保持されているかどうかは、NRF-2サイト依存的なプロモーター制御下のレポーターアッセイを行うことで確認した。その結果、NRF-2α、NRF-2βともに、N末にFLAGタグを、C末にprotein Aタグを付加するコンストラクトで、機能が保持され、タグによる精製がうまく行くことが確かめられた。 次にタグ付き蛋白質の細胞内での発現量を調節し、生理的な条件下で結合パートナーと相互作用できるように工夫した。複数のウィルス由来のプロモーターを試し、タグ付きのNRF-2が内在性のNRF-2の10倍から50倍の発現量になるように条件を振ったが、いずれの場合もNRF-2α、NRF-2βともに有意な結合を示すパートナーは同定できなかった。 問題点として、タグ付きNRF-2とパートナーの結合が、精製の過程でバッファ等によって希釈することで弱められることと、そもそも細胞内で一過性の相互作用しか起きていないことが考えられる。現在これらの問題点を解決するために、細胞培養液中にクロスリンカーを入れ、複合体を安定化してから精製を行う実験を試みている。
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