2005 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における減数分裂特異的遺伝子群の発現制御機構
Project/Area Number |
05J50172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張ヶ谷 有里子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 減数分裂 / 分裂酵母 / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
分裂酵母においては、RNA結合タンパク質Mei2pにより、減数分裂の制御がおこなわれている。Mei2pは栄養源枯渇に伴って発現誘導を受け、核細胞質間をシャトルしているが、その一部は、Mei2pと直接相互作用するmeiRNAとよばれるnon-coding RNAをコードするsme2遺伝子座に一点の核内構造体(Mei2pドット)を形成する。meiRNAはMei2pドットの形成および減数分裂の進行に必須である。栄養増殖期に減数分裂遺伝子群の発現を抑圧するために必須である新規RNA結合タンパク質Mmi1pとMei2pとの機能的関連を検討した結果から、Mei2pはMmi1pを核内の一点の構造体に隔離することにより不活性化し、減数分裂遺伝子の発現ひいては減数分裂の進行を規定している、といった可能性が示唆されていた。本年度、この仮説をさらに検証するため、Mei2pとMmi1pの物理的相互作用について検討をおこなった。その結果、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)融合Mmi1pタンパク質と^<35>SラベルしたMei2pを用いたプルダウンアッセイにより、両者の直接の相互作用が示された。また、Mmi1pはMei2pのC末端領域(429-750アミノ酸)に強い親和性をもつが、N末端領域(1-429アミノ酸)にも若干の親和性を有することが判明した。栄養増殖期にSV40由来の核移行配列を融合したMei2p(Mei2p-NLS)を強制発現させた場合、減数分裂遺伝子の異所的な発現がみられることは以前からしられていた。そこで、染色体上の本来の遺伝子座からGFP融合Mmi1pを発現する細胞にMei2p-NLSを共発現したところ、栄養増殖期にもMmi1pが核内の一点に収束することが観察され、核に局在するMei2pがMmi1pを係留し、それによって減数分裂遺伝子の発現が誘導されるという仮説に適合する結果が得られた。
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