2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J50202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 智美 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガイオマテリアル / 生体親和性 / リン資質ポリマー / ナノ粒子 / 生体反応応答性 / 酵素 / 抗体 / 固定化 |
Research Abstract |
細胞が材料と接触した際にどのような振る舞いをするかを考え、生体が行う免疫システムを模倣することで、生体内において診断と治療の双方を同時に行うことができる生体内導入型診断・治療ナノマシンの開発を目指し、表面上で生体分子の反応に自律的に応答するポリマーナノ粒子の創製を行なった。生体の防御反応を回避できるリン脂質極性基高度集積表面を持つポリマーナノ粒子に、生体反応に応答するための抗体、細胞機能の低下を引き起こすような酵素、さらにポリマー粒子周辺の環境の微小な変化に応答するグラフトポリマー鎖を固定化することにより、抗体でターゲット部位に特異的に反応したのち、ナノ粒子表面のポリマー鎖の構造変化が生じて酵素が反応を開始するような機序を実現した。これにより、抗体による診断と酵素による治療を可能とするものである。特にポリマーナノ粒子に固定した抗体、酵素、グラフトポリマー鎖の個々の反応性および抗原-抗体反応と、グラフトポリマー鎖の変動をトリガーとした酵素反応が効果的に連携するという一連の反応を明らかにした。ポリマーナノ粒子は、一般的に利用されている液中溶媒乾燥法により調製した。乳化する水媒体中のリン脂質ポリマー濃度を調節することにより、生成するポリマーナノ粒子の直径や表面電位を制御した。得られたポリマーナノ粒子表面に、抗体、酵素および片末端アミノ基を有するポリマーを、それぞれの比率を考慮しながら固定化した。特に、抗体が抗原を認識しやすい環境を作るとともに、酵素活性が効果的に発現できるようなグラフトポリマー鎖の修飾条件を明らかにした。培養細胞を利用して、特異抗原に対してポリマーナノ粒子の反応性を調べた。その結果、細胞表面に粒子が結合し、固定化した酵素により細胞表面の糖鎖が切断できることがわかった。
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Research Products
(2 results)