2006 Fiscal Year Annual Research Report
mTOR/raptorシグナル伝達系と細胞成長の解析
Project/Area Number |
05J50702
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江口 賢史 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | mTOR / 4EBP1 / 栄養 / GFAT1 / アミノ酸 / p70 S6 kinase / 細胞サイズ / リン酸化反応 |
Research Abstract |
1.mTORは栄養環境、特にアミノ酸を感知し、下流の40Sリボソーム構成因子S6をリン酸化するp70 S6 kinaseや翻訳開始因子eIF4E結合タンパク質である4EBP1をリン酸化しタンパク合成を調整する事により細胞成長制御(細胞サイズ)を司る重要な分子である。今回、mTORによる細胞サイズの制御について得た知見について報告する。 4EBP1上にはTOSおよびRAIPの二つのモチーフが存在し、それぞれリン酸化に重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、詳細については明らかになっていない。そこで、各モチーフの4EBP1のリン酸化および細胞サイズに対する影響を解析した。RAIPモチーフ変異体はリン酸化が若干低下するものの細胞のサイズに影響がなかった。それに対し、TOSモチーフ変異体はリン酸化が大幅に低下し細胞サイズの減少が観察された。また、リン酸化部位変異体を用いた解析から4EBP1のThr37,46,70のリン酸化が細胞サイズの調節に重要である事が明らかとなった。 2.現在、mTORがどのように栄養シグナルを感知し伝達しているのかについては明らかになっていない。そこで栄養依存的にリン酸化が変化する分子を探索し、新たな知見を得たので報告する。 mTORシグナル伝達系にはAktリン酸化モチーフを有し栄養依存的にリン酸化される分子が複数存在する。そこで、栄養刺激をした細胞の抽出を抗Aktリン酸化モチーフ抗体で免疫沈降し、SDS-PAGEで分離後、銀染色を行った。その結果、栄養依存的にリン酸化される約70kDaの分子を見出し、質量分析法によりGFAT1(glucosamine-fructose-6-phosphate aminotransferase)が同定され、栄養条件によりリン酸化が変化する事を見出した。この結果から栄養と糖鎖修飾との関わりが示唆された。
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Research Products
(1 results)