2005 Fiscal Year Annual Research Report
大学の教育評価に関する研究-教育過程における学習者評価の構造化-
Project/Area Number |
05J50751
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
串本 剛 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 教育評価 / 教育成果 / 大学教育 / 自己点検・評価 |
Research Abstract |
本年度は、教育評価の実状、その中でも特に教育成果に関する情報がいかに把握されているかについて、各大学が発行する自己点検・評価報告書を分析することにより明らかにした。得られた知見は、主として次の3点にまとめることができる。 (1)教育成果を把握することができる方法として、今日わが国の大学で利用されているものは、収集されている情報の性格(客観的か主観的)と、収集方法(一括か分割)とに基づき、大きく4つに分類できる。これらの内、最も多く利用されているのは、客観×一括の方法で、そこには卒業生の進路や国家試験の合格状況等が含まれる。 (2)学部の属性による使われている方法の多寡を検証したところ、客観的情報については設置形態により違いが見られるのに対し、学生や教員による授業評価からなる分割×主観の方法では学部設置年で、卒業生や雇用者に対するアンケートを含む一括×主観の方法では入試難易度によって差が出ることが明らかとなった。 (3)上記(1)および(2)での分析対象は、教育成果を把握することが「できる」方法であった。しかし、実際にそれらの方法では、幾つかの先進的な事例を除き、教育成果ではなく教育活動に関する情報が収集されていると考えられる。一例として100種類の授業評価票の項目分析を行ったところ、教育成果について尋ねている項目はわずか12.3%であった。 従って今後の研究課題としては、実際にどの様な教育成果に関する情報が把握されているのか、またその情報が教育評価のなかでどの程度活かされているのかを明らかにすることが残されている。
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