2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析を用いたマウス核移植胚におけるリプログラミング因子の同定
Project/Area Number |
05J51132
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川澄 みゆり 近畿大学, 大学院生物理工学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | タンパク質 / 核移植 / 発生・分化 |
Research Abstract |
体細胞核移植では、細胞質中に移植された核の体細胞特有の遺伝子発現パターンが消去され、受精直後の遺伝子発現状態にリセットされる、核のリプログラムの存在が考えられている。このリプログラムの過程には形態的変化である細胞分裂機構やエピジェネティック修飾が関わると考えられ、多くの研究が進められている。そこで本研究では、核移植後の細胞分裂機構やリプログラムに関わる分子機構に関する検討を行い、知見を獲得した。 1、核移植後の第一卵割時における染色体ならびに分裂装置の動態について検討した。その結果、活性化後の星状体の局在に異常が認められ、また2細胞期には核の断片化が認められた。これは第一有糸分裂時の染色体の分離時に分裂の異常が生じることが原因と考えられた。核移植胚では、ドナー細胞核がリプログラムを受ける過程で様々な形態的異常を示すことが示された。 2、リプログラミングに関わる因子についてタンパク質レベルでの解析するため、まず基本モデルとしてマウス未受精卵を用いてプロテオーム解析技術の構築を行った。マウス未受精卵10000個および600個を用いてそれぞれ二次元電気泳動を行い、質量分析(MALDI-TOF/TOF)により発現タンパク質の同定を網羅的に行った。その結果、二次元電気泳動後に得られたタンパク質のスポットは175個、そのうち同定することのできたスポットは99個、さらに同定できたタンパク質は33種類であった。同定されたタンパク質の中には、クロマチン構造の変化に影響を与える可能性が考えられるpeptidylarginine deiminase (PAD)など卵子に特異的に多く見られるタンパク質が含まれていた。 今後、得られたタンパク質から、核移植胚のリプログラムに関与すると考えられた候補タンパク質について、それらの未分化細胞への転換能などについて検討する必要があると考えられた。
|
Research Products
(1 results)