2005 Fiscal Year Annual Research Report
遮熱コーティングシステムの熱機械疲労環境下における劣化・損傷評価
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05J52102
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
丹野 昌利 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遮熱コーティング(TBC) / 熱機械疲労試験 / 交流インピーダンス法 / 非破壊モニタリング / 界面はく離 / 熱成長酸化物(TGO) |
Research Abstract |
熱機械疲労(TMF)試験中にTBCの劣化・損傷を的確に評価するために,非破壊的な劣化・損傷モニタリング手法の確立が重要である.交流インピーダンス法は高温での測定が容易であり,これまでにTBCの劣化・損傷の非破壊評価法として幅広く検討されてきた.しかし,TBCは安定化ジルコニア(YSZ)のトップコート層,MCrAlY系合金のボンドコート層,ボンドコート層の高温酸化により生成する熱成長酸化物(TGO),基材合金により構成され,TBCのインピーダンススペクトルはこれらの構成要素に起因したインピーダンスを含む複雑なスペクトルとなる.本研究ではYSZ層,TGO層を個別に,またTBC全体のインピーダンスを計測し,TBCのインピーダンススペクトルの解釈について検討を行い,さらには温度依存性を調査し,交流インピーダンス法の熱機械疲労試験における劣化・損傷モニタリング手法としての可能性について検討した. TBCのインピーダンススペクトルには,(1)YSZ粒,(2)YSZ粒界,(3)TGO,(4)YSZ/電極界面,(5)YSZ/TGO界面のインピーダンスが含まれていることを確認した.TMF試験温度である900℃付近では主にTGO,およびYSZ/TGO界面に起因するインピーダンスが計測され,これらのインピーダンスを分離できることがわかった.TGOの生成・成長は熱応力の上昇,接合強度の低下の原因となり,TBCのはく離・脱落に大きく関与していると考えられている.TGOの成長によりTGOのインピーダンスは変化し,はく離が発生した場合はYSZ/TGO界面のインピーダンスが変化することが予想される.よって,TMF試験中にTBCのインピーダンスをモニタリングし,TGO,およびYSZ/TGO界面のインピーダンスに着目すれば,TGOの成長,TBCのはく離を同時にモニタリングすることができる可能性が見出された.
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