2005 Fiscal Year Annual Research Report
武力紛争下の人道主義の思想と実践:人間の安全保障とジェンダーの観点から
Project/Area Number |
05J52132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 友也 東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジェンダー / 人間の安全保障 / 人道主義 / 人道支援 |
Research Abstract |
人道主義の思想と実践に関する諸問題を、人間安全保障とジェンダーの観点から解き明かしてきた。研究目的の第一である人道主義の道義的根拠に関する研究では、倫理学、哲学、宗教学の文献収集で得られた知見を用いて、2005年6月4日・5日に開催された2005年度・日本平和学会春季大会(立教大学)学会報告、日本平和学会紀要『平和研究』掲載論文等を通じて、人道主義をキリスト教の隣人愛などの前近代的価値との比較を通じて、その意味内容を確定し、さらに、人道主義を救助者と被災者との心理的・物理的距離から分析して、他者を救助する義務が生じる条件も明らかにした。研究目的の第二である人道主義の正義と秩序に関する研究では、昨今の人道危機に対する軍事介入を事例として用いながら、第二次大戦後に人道的目標を実現するために構築された内政不干渉義務や武力不行使義務がどれほど揺らいでいるのか、また、新秩序形成の機運となっているのかという点について研究を継続しており、来年度の2006年7月15日・16日に開催される予定である2006年度・日本公益学会(東北大学)にて学会報告をするために、本年度に資料収集した文献を用いた分析を進めているところである。研究目的の第三は、人道主義の新しい実践形態としてのメンタル・ケアが、安全保障の理念を変更するものであることを論ずるものであった。法学・政治学の見地から議論を展開する必要から論旨を編成し直した。人道主義の法的形態である国際人道法における女性の積極的な保護が、女性に安全の保障を提供できる点について、すでに執筆した『ジェンダー法・政策研究』掲載論文(来年度刊行予定)にて議論した。
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Research Products
(2 results)