2005 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病における疾患感受性分子群の細胞生物学的解析
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05J52142
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
軽部 宏紀 山形大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パーキンソン病 / α-シヌクレイン / 細胞生物学 |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は、ドーパミン神経細胞の変性・脱落とレビー小体の形成により特徴づけられる。レビー小体は可溶性タンパク質であるα-シヌクレイン(αS)が主要構成成分で、その生理的機能や、なぜレビー小体という不溶性凝集体を作るのか機序は不明である。αSはC末端領域の欠失やリン酸化によって凝集しやすい性質があり、また脂肪酸結合タンパク質(FABP)の一種としての働きも示唆され、FABPの脂肪酸結合モチーフとαSのN末端領域およびC末端領域では高い相同性が示されている。さらに不飽和脂肪酸によって可溶性αS重合体の形成が促進されることも知られている。 本研究では、αSアミノ酸配列を欠失させた各種変異体を作成し、in vitro並びに培養細胞を用いた解析で、1)脂肪酸と結合するαS分子内の領域(アミノ酸配列)を同定、2)脂肪酸により起こる可溶性αS重合体の形成は脂肪酸との直接的な結合を介して生じるのか、それとも易凝集性が知られているαSのC末端領域の切断ならびにリン酸化による影響がより優位なのか、という点について検討した。 結果、in vitro脂肪酸結合分析で、αSのN末端領域で脂肪酸と結合することを示した。培養細胞では、脂肪酸を介した可溶性αS重合体形成を確認することができ、in vitroの実験結果と同様に、N末端領域にある脂肪酸結合領域での脂肪酸との結合が、可溶性αS重合体形成を惹起することを示した。さらにin vitroで易凝集性が明らかにされているC末端領域欠失や129番目のセリン残基をリン酸化したαSにおいても、脂肪酸により惹起されるαS重合体形成は、N末端領域に依存していることを示した。 結論として、αSはN末端領域を介して脂肪酸と結合し、脂肪酸による可溶性αS重合体形成に重要な役割を果たし、C末端領域の欠失やリン酸化は重合体形成の促進因子である可能性を示した。
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