2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における新規分子標的治療候補遺伝子の同定およびその機能解析
Project/Area Number |
05J52212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴 在賢 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳癌 / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
現在までに乳癌における多くの発現情報解析が報告されてきているが、乳癌組織の特性である線維性組織や免疫細胞のがん組織への浸潤といった癌組織の組織学的不均一性が考慮されておらず、正確な乳癌の遺伝子発現プロファイルであるとは言えない。そこで、われわれは、解析試料への癌以外または正常細胞以外の混入を避けるため、Laser Microbeam Microdissection(LMM)法によって癌細胞および乳癌の発生母地である正常乳腺細胞を選択的かつ迅速に取得し、77症例の乳癌におけるcDNAマイクロアレイの解析を行い、正確な乳癌の遺伝子発現情報を取得している。乳癌の発生および進展機序を明らかにし、新規治療の標的分子の同定するために、この正確な27648遺伝子からなる遺伝子発現プロファィルの解析およびヒト正常30臓器の遺伝子発現プロファイル解析を用いて、乳癌で高頻度に発現亢進し、ヒト正常臓器、特に生命維持に重要な臓器である心臓、肺、腎臓、肝臓にて発現の低い遺伝子(B7330N)を同定した。このB7330N遺伝子は、cDNAマイクロアレイ解析では、発現情報の得られた乳癌77例中27例にて、正常乳管細胞に比べて発現亢進を認めた。このマイクロアレイ解析の結果を検証するために、半定量的RT-PCRおよびノザン解析を行った結果、B7330N遺伝子は、わずかに胎盤、膵臓、胃、気管支においてのみ発現を確認された。また、乳癌細胞株における発現も同様に調べたところ、ほとんどの乳癌細胞においても高い発現を示した。今後は、B7330N遺伝子の増殖に関わるメカニズムを明らかにする予定である。その1つとして、B7330N特異的な抗体による乳癌細胞の増殖への影響を調べて、抗体治療の可能性を検討するために、モノクローナル抗体の開発を行う。また、それらの抗体を用いた、血清診断マーカーの可能性も併せて調べる予定である。これらの成果は、2004年日本癌学会総会にて口演している。
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Research Products
(1 results)