2005 Fiscal Year Annual Research Report
インビトロタンパク質合成系を用いたリポソーム-細胞間ギャップ結合の形成とその応用
Project/Area Number |
05J52342
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
金田 誠 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コネキシン / ギャップ結合 / in vitro発現 / ドラッグデリバリーシステム / リポソーム |
Research Abstract |
リポソームを用いた薬剤導入法の効率の低さや細胞毒性などの問題点を解決するため、インビトロタンパク合成系を用いて、ギャップ結合(GJ)の構成タンパク質であるコネキシン43(Cx43)をリポソーム内で発現させることにより、Cx43を膜に組み込ませたリポソームを作成した。作成したリポソームを膜分画と上清に遠心分離し、ウェスタンブロットで検討したところ、Cx43タンパク質の大部分が膜分画において検出された。次に、このリポソームの物質導入効率を検討するため、リポソームを作成時にカルセインを加え、内部にカルセインを含むCx43発現リポソームを作成し、これをCx43発現細胞に添加した。添加2時間後、リポソームから細胞へのカルセインの移行が認められた。この物質移行はCx43を発現していないリポソームやギャップ結合の阻害剤を前処理した場合には認められなかったことから、Cx43発現リポソームの投与によりリポソーム-細胞間に機能的なギャップ結合が形成されることが示唆された。さらに、この系を用いてNF-κBシグナルを阻害するオリゴペプチドを培養細胞に投与したところIL-1b刺激に伴うNF-κBプロモーター活性の上昇、およびCyclooxygenase-2のmRNA発現量の上昇を優位に抑制した。以上の結果から、Cx43発現リポソームを用いることでギャップ結合依存的に細胞内へ薬剤を導入することができ、新規DDSとしての可能性を見出すことができた。Cxタンパク質には約20種類のサブタイプが存在し、発現パターンには組織特異性がある。そこで、現在、Cx43とはギャップ結合の形成が認められないCx32の発現ベクターを作成し、リポソーム-細胞間ギャップ結合においてもサブタイプ選択性があるかどうかを検討している。本実験は将来、in vivoにおける組織特異的な薬剤導入を目指す上で重要な基礎実験となると考えている。
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