2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ストレス応答経路の制御による化学療法耐性克服の分子メカニズムと臨床応用
Project/Area Number |
05J52603
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 喜之 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レドックス / galectin7 / NQO1 / p53 / 尿路上皮癌 / 化学療法 / アポトーシス |
Research Abstract |
1)尿路上皮癌におけるシスプラチン(CDDP)耐性機序の克服 (a)Galectin7による化学療法感受性亢進の分子機序の解明 我々は、尿路上皮癌においてgalectin7の発現誘導が酸化ストレスの蓄積を介してJNK-Bax-mitochondria経路の活性化を惹起しCDDPの感受性を亢進することを同定し、今後新たな分子標的となりうる可能性を見出した。 (b)NADH quinone oxidoreductase-1 (NQO1)活性修飾による抗癌剤耐性克服に関する研究 我々は、欧米で抗凝固剤として臨床応用されているDicoumarolがNQO1の作用を特異的に阻害することによって、p53野生型尿路性器癌においてCDDPの殺細胞効果を増強することを見出した。その機序として、Dicoumarolがp53-p21経路を介した細胞周期停止機構を阻害し、その結果JNKを活性化することでmitochondriaを介したapoptosisを誘導することを解明した。 2)膀胱全摘前補助化学療法の効果に関する網羅的遺伝子解析 前向き多施設共同研究にて集積した浸潤性膀胱腫瘍サンプルからmRNAを抽出し、cDNA microarrayを行うことで、抗癌剤感受性に関連する因子の同定を試みた。その結果、癌の進展・アポトーシスに密接な関係を持つ細胞内酸化ストレス制御に関わる遺伝子群が化学療法感受性マーカーとしてpick upされ、さらにそのvalidationを他のサンプルで行ったところ、microarrayで得られた遺伝子発現の傾向を裏付ける結果であった。
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Research Products
(2 results)