2006 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマシート境界層における質量・エネルギー輸送の統計的研究
Project/Area Number |
05J52642
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 大祐 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマシート境界層 / プラズマシート / 太陽風 |
Research Abstract |
昨年度に構築したデータベースは粒子の計測エネルギー範囲が40keV以下に制限されていたため、地球周辺の高温高密度プラズマの粒子モーメントが適切に評価されていない可能性があった。これを改善するために同じくジオテイル衛星に搭載されている高エネルギー粒子計測器EPIC-STICSのデータを用いてより正確なモーメントの計算を行い、データセットの再構築を行った。次に改善したデータセットを用いてプラズマシートの数密度と同時に観測された太陽風パラメタとの相関解析を行った。解析の結果、プラズマシートの数密度は太陽風数密度、および惑星間空間磁場の南北成分に有限の時間差を持って依存していることが確認された。これは以前から指摘されてきたことであるが、本研究では新たにその依存性を赤道面プラズマシートの2次元構造として明らかにした。さらに惑星間空間磁場の南北成分とプラズマシート数密度の最適相関時間差の2次元分布も明らかにした。このことにより高緯度低緯度のプラズマシート境界層を介するマグネトシース粒子のプラズマシートへの流入経路について新たな観測的知見を得た。すなわち、南向きの惑星間空間磁場が支配的な状況下では遠地球領域における太陽風数密度への依存が強く、惑星間空間磁場への応答時間は遠地球領域から近地球領域に向かって増大しており、一方、北向きの惑星間空間磁場が卓越する状況下では低緯度プラズマシート境界層において惑星間空間磁場への応答時間が近地球領域から遠地球領域に向かって増大するという結果を得た。このことは南向きの惑星間空間磁場が支配的な状況下では高緯度のプラズマシート境界層を経由して中尾部からシース粒子が流入し、北向きの惑星間空間磁場が支配的な状況下では高緯度磁気再結合の結果、低緯度プラズマシート境界層を経由して粒子流入が起こるという説を支持するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)