2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける地域統合と生産活動の集積:空間経済学の視点からの理論と実証
Project/Area Number |
05J52672
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後閑 利隆 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多国籍企業 |
Research Abstract |
1、収穫逓増の技術を用いて最終財か中間財を生産する多国籍企業について、2地域一般均衡モデルにより分析を行った。分析の結果として、多国籍企業の本社と工場の立地選択において、ある地域に工場が立地することによる比較優位だけでなく、企業間のリンケージも重要であることを明らかにした。そして、本社と工場間の情報伝達費用が低下するにつれて、最終財は本社から離れた地域で生産されるようになり、同時に中間財の生産拠点は海外に移ることを示した。この結果は、東アジアにおいて日本の自動車産業の中間財生産企業と最終財企業がともに増加している事実に対応している。さらに、自動車産業のように中間財と最終財の輸送費の差が小さい場合には、本社がある日本と本社がないタイの双方に工場が立地され、パソコンのように中間財と最終財の輸送費の差が大きい場合には、最終財はアジアやヨーロッパといった各地域ごとに生産されるが、中間財は東南アジアや中国で集中して生産されるようになることを示せた。この分析を2006年日本経済学会春季大会での発表を予定している。 2、上記のモデルの一部を利用した実証分析を行うために、データを作成した。具体的には、東アジアと東南アジアの各国における日本企業の資本提携先の自動車生産台数、自動車部品企業の進出先住所、及び、日本からの海上輸送と航空輸送に関する資料である。資料の整理により得られたデータから、日本企業と関連する生産活動はタイと中国の広州周辺に集積していること、及び、タイは他の国や地域と比べて、以前から日本からのアクセスが良かったことが分かった。
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