2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスを"分子マシナリー"的視点から捉えたゲノム情報収斂型創薬研究
Project/Area Number |
05J52681
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 裕輝 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | SARS-CoV / HIV / FIV / ELISA / α-helix |
Research Abstract |
今年度は、新規抗SARS-CoV阻害ペプチドの創製を目的とし、ウイルスエンベロープタンパクのC端側領域35残基のペプチドに膜融合阻害活性を有するという知見を基にし、その誘導体の合成を行った。具体的には、この領域のX線結晶構造解析データから、αヘリックスを形成している17残基について、溶媒接触面に対して規則的にGlu-Lysに置換することでsalt bridgeを形成させ、αヘリックス形成能、抗ウイルス活性の向上を目指した。これらペプチドの抗ウイルス活性を測定したところ、nativeな配列のペプチドとほぼ同等の活性を維持することに成功した。 これらペプチドの抗ウイルス活性の測定をするには実際のSARS-CoVを用いる必要があり、これはP3レベルの実験室が必要であること、また実験者へのSARS感染のリスクが伴う。そこで、安全かつ簡便なassayシステムの構築を目指すこととした。具体的には、膜融合の際に相互作用が見られる、ウイルスエンベロープタンパクのN端領域、C端領域をそれぞれMBP, GSTと融合させたタンパクとして大腸菌に発現させ、両者をELISAプレート上で反応させ、両者に相互作用が見られた場合は抗体により発色し、ペプチドにより相互作用が阻害された場合には発色が見られないという活性の有無を発色により定量化するシステムの構築に成功し、実際のウイルスを用いたassay結果とも高い相関が見られた。 一方で、これまでにHIVおよび上記のSARS-CoVに対して行ってきたウイルスエンベロープタンパクのαヘリックス性の高い領域のうち、溶媒接触面に対してGlu-Lysを規則的に置換するという方法論を猫エイズ(FIV)に対しても適用してペプチドを合成し、抗ウイルス活性を測定したところ、nativeな配列よりも活性の向上したペプチドの創成に成功した。
|
Research Products
(1 results)