2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスを"分子マシナリー"的視点から捉えたゲノム情報収斂型創薬研究
Project/Area Number |
05J52681
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 裕輝 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV / FIV / ELISA / α-helix / T-20 / 膜融合阻害剤 / ペプチド |
Research Abstract |
今年度はHIV膜融合過程を標的とした、新たな阻害剤の創製を行った。具体的には、現在までに欧米で臨床応用されているペプチド性膜融合阻害剤T-20をリードとし、ここにαヘリックス形成能の向上、ウイルス標的部位との結合親和性の向上を指向したX-EE-XX-KKユニット(E : Glu, K : Lys)を導入したT-20EKのデザイン及び抗HIV活性の測定を行った。その結果、リード化合物T-20よりも活性が10倍程度向上した強力な抗HIVペプチドの創製に成功した。また、T-20には既に耐性HIVが複数報告されており、その臨床分離株で確認されたHIVエンベロープタンパクgp41の変異アミノ酸部位に着目し、T-20及びT-20EKの138位のSerについて構造活性相関研究を行ったところ、いずれもAla置換体が最も高い活性を示し、特にT-20EK/S138Aについてはリード化合物であるT-20よりも50倍程度強力な抗HIV活性を示す誘導体の創出に成功した。 また、昨年までに創製した猫エイズ(FIV)膜融合阻害剤に対してウイルスを用いることなく、ELISAにより安全かつ容易に評価するシステムの確立に成功した。具体的には、膜融合阻害剤がウイルスエンベロープタンパクのN端側及びC端側のヘリックス同士の相互作用をブロックすることで効果を示していることに着目し、まず、このN端側、C端側のヘリックス領域を抗体で染色可能なタグ付きの融合3タンパクとして発現および合成した。両者が相互作用すればタグに対応する抗体により染色され、ここに阻害剤が存在すれば相互作用はブロックされ、染色されないという原理である。このELISAにより得られた結果は実際のウイルスとも非常に相関が見られる結果が得られた。
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