2006 Fiscal Year Annual Research Report
SARSコロナウイルスの持続感染系の確立とその解析
Project/Area Number |
05J52712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山手 政伸 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルス学 / SARS / コロナウイルス / 持続感染 |
Research Abstract |
これまでに確立されたSARSコロナウイルス(SARS-CoV)のVero E6細胞における持続感染系の解析を行った。ウイルスタンパク質の発現は急性感染期と比較し、一部のウイルスタンパク質の発現に違いが生じることを確認した。また、持続感染細胞における実際の感染細胞の割合は1割程度であり、これは非常に安定して維持されることも様々な検討から確認された。持続感染細胞で維持されているウイルスゲノムのほぼ完全長をシークエンス解析したところ、構造タンパク質に数点の変異を見いだした。また、非構造タンパク質にも変異を認めたが大きな違いはウイルスゲノムの広範に位置するアクセサリ遺伝子の領域で比較的大きな欠損変異が認められた点である。私たちは持続感染細胞のクローン化に世界で唯一成功しているが、未クローンの持続感染細胞とクローン化した持続感染細胞(#21)ではそれぞれ有している点変異はほぼ同一であったが、このアクセサリ遺伝子領域での変異に大きな違いがあった。すなわち、未クローン状態ではアクセサリ遺伝子領域に欠損のみが認められたが、#21では同一部位が欠損しているものの全く同一の領域が近位の部位に挿入されていた。この結果はあまり他に例がなく、再度持続感染細胞を作製するなどして詳細に検討していく予定である。 SARS-CoVの遺伝子を導入した組換えニューカッスル病ウイルス(rNDV)の作製であるが、これについてはS遺伝子の組換え体を作製し遺伝子が発現されることを確認した。in vitroでの基本的な検討を行い、詳細な検討を行っていく予定である。 また、近年ウイルスの宿主細胞へのエントリーに脂質ラフトやカベオラ構造の関与が示唆されてきているが、これについても検討を行った。
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Research Products
(2 results)