2006 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系における量子臨界点近傍の異常物性の数値繰り込み群による研究
Project/Area Number |
05J52752
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 一匡 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 数値繰り込み群 / 重い電子系 / 価数揺らぎ / 二不純物アンダーソン模型 |
Research Abstract |
二不純物アンダーソン模型の臨界点において、電荷感受率がその臨界点において増大することを数値繰り込み群を用いて解析した。詳細な解析の結果、電荷感受率の中でもサイト間を電荷が移動するようなものが最も発散が強いことがわかった。また一不純物問題の解との比較から、電子-正孔対称性の無い時においても実際に電荷感受率が有意に増大されることを示した。 結晶場準位を複数含むような拡張アンダーソン模型の価数揺らぎを数値繰り込み群を用いて解析した。価数遥動領域では、近藤温度の増大により、各準位の幅が非常に大きくなり励起状態の結晶場準位を無視できないことを示した。この結果はCeCu_2Si_2等で実験的にも理論的にも期待されている価数転移による超伝導や非フェルミ液体状態の起源に関しての更なる理解の足がかりになるものである。 ROs_4Sb_<12>(R=La,Pr,Sm等)やLa_3Pd_<20>Ge_5で見られる超音波分散の起源について理論的に研究を行った。f電子系の結晶場状態を記述するために用いられた擬粒子法を電子一格子系に適用し、フォノンの低エネルギースペクトルの詳細な温度依存性を見積もることに成功した。これにより、実験的に観測されている弾性定数の上昇およびその振動数依存性を説明することができた。この低エネルギースペクトルは、イオンの有効ポテンシャルがオフセンターになっていく過程で得られるものであり、磁場に鈍感な重い電子状態の理論(前年度)とともに、統一的に観測されている主な実験事実を説明することができる。
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Research Products
(2 results)