Research Abstract |
本研究では,関数データ解析におけるモデリングに情報量規準を導入することと,生命科学などの様々な分野で観測・測定されるデータに対して関数データ解析を行い,従来の知見に加えて統計的な考察をすることを主な目的とする. 今年度は,多次元(多変量)関数データに基づく関数主成分分析について研究し,一方で,多次元関数クラスター分析を新たに提案した.また,提案手法の有効性を数値実験により検証し,タンパク質立体構造解析などへの応用を試みた(Kayano, et. al.(2007, MHF Preprint Series, Kyushu Univ.), Kayano and Konishi (2007, MHF Preprint Series, Kyushu Univ.)).その結果,提案した関数主成分分析は,不均一に観測された複雑な非線形構造をもつデータに有効で,提案した関数クラスター分析は,個体変動が大きく,外れ値をもつデータに対して特に有効であった.また,タンパク質立体構造解析への応用について,従来の生物学的なタンパク質分類と提案手法による分析結果の対応が見られた.つまり,本研究で提案した分析手法によって,タンパク質立体構造は有効に捉えられることがわかった. 一方,非常に不均一に観測・測定されたデータに対して有効な,多次元関数データに基づく主成分モデルと,正則化法による推定法を提案した(Kayano, et. al.(2007, Proceedings in ISI2007),茅野・小西(2007,2007年度統計関連学会連合大会講演予稿集)).また,提案手法を,経時的に観測された手書き文字データ解析へ応用し,個体差が現れる筆跡の部位の特定を試みた.現在は,数値実験による提案手法の有効性の検証を行うと同時に,提案モデルに対するモデル評価基準の導出や様々な実データ解析への応用を考えている.
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