2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J53033
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岸 友紀子 Jichi Medical University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ES細胞 / センダイウイルスベクター / 遺伝子操作 / 奇形腫形成 / 発現調整 / 霊長類 / 一過性発現 / 再生医療 |
Research Abstract |
胚性幹細胞Embryonic stem cells(ES細胞)は、受精卵の発生初期段階である胚盤胞の内部細胞塊から作られる多分化能と無限増殖能を有する幹細胞株であり、再生医療への応用が期待されている。 センダイウイルスSendai Virus(SeV)ベクターは、サルES細胞に外来遺伝子を効率よく導入できるベクターである。このSeVベクターを用いてES細胞に導入した遺伝子の発現を制御する方法を開発した。ES細胞の増殖・分化制御の目的で種々の遺伝子が導入されるが、導入した遺伝子の発現が持続することによる腫瘍化等の悪影響が懸念されており、導入遺伝子の発現の制御方法の開発が求められている。 SeVベクターを用いてES細胞に遺伝子を導入し、培地により遺伝子発現に差が出るかどうかを確認した。牛胎仔血清添加培地と無血清培地で培養し、遺伝子発現を比較した。また、維持培養中に抗ウイルス効果を持つリバビリン・パパベリン・プロスタグランジンA1を添加した時の遺伝子発現の変化を、フローサイトメトリー、RT-PCR等で解析した。 SeVベクターを用いて遺伝子を導入した細胞を無血清培地で培養したところ、遺伝子が導入された細胞の割合は徐々に減少し、2-6カ月後に消失した。臨床で用いられる血中濃度(12μMまたは20μM)のリバビリン添加培地下で培養したところ、遺伝子導入されたES細胞の未分化性は維持され、遺伝子導入細胞の割合と輝度は低下した。一方、パパベリンおよびプロスタグランジンA1を添加しても、遺伝子導入細胞の割合および輝度は低下しなかった。 本研究では、無血清培地を用いることにより、SeVベクターで導入した遺伝子をES細胞から除去できる可能性を示した。抗ウイルス薬を用いた遺伝子発現制御の検討では、日常診療で用いられる量のリバビリンを投与することで、導入遺伝子を除去できる可能性が示唆された。
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