2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における社会・経済的地位による健康の不平等と社会保障サービスの公平性
Project/Area Number |
05J53082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 加代子 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 貧困の動態 / 所得の動態 / パネルデータ / 慶應義塾家計パネル調査 |
Research Abstract |
慶應義塾大学経済・商学連携21世紀COEで収集しているパネルデータ『慶應義塾家計パネル調査』を利用して、貧困の動態分析をおこなった。これにより、研究課題の基盤である社会・経済的地位の変動を捉えることを試みた。全年齢層を対象としたパネルデータの特性を活かして、低所得の動態について全体像を掴むことができた。従来の研究が特定の年齢層を対象としたパネルデータに基づいて貧困動態の分析を行っていたことと比較すると、この点が大きな貢献である。 分析の結果、貧困はすべての人にランダムに起こり得る現象ではないこと、高齢世帯に加えて若年世帯においても、継続的貧困が多く見られることがわかった。また、貧困からの出入りにおいては、勤労所得の増減が重要な要因となっていることもデータ分析からわかった。勤労所得に加えて、社会保障給付も貧困脱出に僅かならず貢献していることもデータから読み取ることができた。 また、得られた結果を経済協力開発機構(OECD)の既存統計と比較したところ、日本における貧困は、英語圏諸国ほど深刻でないものの、大陸ヨーロッパ諸国に比べ貧困率のみならず貧困層の固定化においても楽観を許す状況でないことが明らかになった。この研究については、加筆・修正を行い、学会発表および学術雑誌への投稿を計画している。さらに、所得の変動を確認したことにより、長期的な所得が医療サービスの利用や健康状態にどのような影響を与えるのかについて、今後研究を発展させていくことが可能となった。
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Research Products
(1 results)