2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブレインワールドシナリオに基づく自然な宇宙モデルの構築
Project/Area Number |
05J53192
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高水 裕一 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドメインウォール / 宇宙論 / 宇宙項 |
Research Abstract |
5次元時空を簡単なミンコフスキーにしたときのドメインウォールの衝突と宇宙の再加熱機構の仕事をさらに発展したものとして、5次元に負の宇宙項がはいった場合の衝突について研究成果がでた。この仕事は論文にまとめ、現在投稿中である。以下でその概要を要約する。ドメインウォールの衝突は、宇宙項の影響がかなり小さい時は、以前のミンコフスキーでの振舞いとほとんど変わらないが、影響が大きくなると、ミンコフスキーの場合とは異なり、衝突により生成された場の揺らぎが不安定になることがわかった。これにより、衝突後、この宇宙モデルでは特異点が形成されてしまうことになる。この解析は数値シミュレーションでも確かめられていたが、さらに摂動計算による固有値問題としても同様な結果を得、裏づけもきちんとできた。また衝突による宇宙の発展の仕方も今回の研究により、明らかとなった。このモデルでは期待していたビッグバン宇宙につながるような宇宙の発展をしないという否定的な結果を得た。宇宙の発展は逆に衝突前に少し膨張し、その後、収縮に転じる。これは現在の宇宙像と相容れなく、このモデルがよくないことを示している。また衝突の回数はドメインウォールの初速度に大きく依存するが、今回の負の宇宙項によりこれらの描像もミンコフスキーの場合と比べて変更をうけることもわかった。例えば、ミンコフスキーの場合に2回衝突をしていたものは同じ初速度で負の宇宙項がはいった場合は、2回衝突する前に2枚のドメインウォールの組から上記の不安定性によりエネルギーが境界(外)に逃げてしまうため2回目の衝突が起きない。これは実質的に負の宇宙項がドメインウォールを境界に対して、引き寄せる力として働いていることになる。
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Research Products
(3 results)