2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブレインワールドシナリオに基づく自然な宇宙モデルの構築
Project/Area Number |
05J53192
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高水 裕一 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブレイン宇宙 / ブレイン衝突 / ドメインウォール / ブラックブレイン / 高次元 / フラックスコンパクト化 / ホーキング輻射 |
Research Abstract |
超弦理論からくる超重力理論ではBPSという安定なブレイン解ができるが、これが大きい初速度、AdS時空の場合、衝突によってBHが形成されることがわかった。自己重力も含めたドメインウォールの衝突を調べた。初期状態は5次元超重力理論のBPS解を用いた。衝突後、地平線に覆われた特異点がバルク中に形成され、ドメインウォールが張り付いたブラックブレインができた。この現象は、低速度、弱重力以外の一般的な状況で同様にみられた。これらの結果は、自己重力によって従来の衝突現象が大きく変更される可能性を示している。本研究は、これらのブラックブレイン解が時間発展の中でどのようにできてきたかを示す、画期的な成果である。また高次元とくにフラックスコンパクト化された6次元モデルに注目したブレインワールドの研究にも成果があった。6次元のアインシュタイン重力と電磁場がはいった系に2つのブレイン(空間3次元ブレインとバルクに巻きついた空間4次元のブレイン)を考えた。特に、後者のブレイン上には、任意の物質がおけるので、これを我々の宇宙だとして、このブレイン上の物質が及ぼす重力の線型摂動の解析をした。これは、きちんと4次元のアインシュタイン重力が再現されているかを調べる上で重要である。結果は、内部空間の揺らぎを表すスカラー自由度(巻きついたブレインの円周など)は長距離重力に着目する場合、十分に抑えられることがわかり、ブレイン上に4次元アインシュタイン重力が再現されていることが示された。特に、ランドールサンドラムモデルと同様、4次元重力の再現にはブレインが曲がることに対応する揺らぎのモードが重量な役割を担っていることがわかった。さらに、ブレインがつきささった回転している6次元ブラックホールからのホーキング輻射率を計算した。この研究は、従来知られている振動数の領域を大きく広げた、振動数領域で有効な計算結果であり、画期的な成果であるといえる。さまざまな、回転のパラメータ、ブレインの張力に対して、エネルギーと角運動量放射のスペクトラムを求めたが、回転しない場合に期待されていたように、ブレインの張力は放射を抑える役割をしていることが確認された。回転のパラメータをあげると、放射は増幅されることもわかった。
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Research Products
(9 results)