2005 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルスチルカメラ産業における日本企業の国際競争力についての研究
Project/Area Number |
05J53272
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中道 一心 同志社大学, 大学院・商学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デジタルスチルカメラ産業 / 国際競争力 / 絵作りの能力 / 競争次元の高度化 / オープンな部品取引 |
Research Abstract |
平成17年度はデジタルスチルカメラ(Digital Still Camera : DSC)産業における完成品企業、部品企業へのインタビュー調査を中心に研究を進めた。インタビューの目的は生産システム、製品開発システムの指標作りである。 インタビュー調査の結果、生産システムおよび製品開発システムについては、既存研究で利用されている計画ロット(生産計画策定に際して単位とする期間)、計画先行期間(生産計画確定から生産の実施までの期間)、開発工期(および遵守率)、納期(および遵守率)というものを、DSC産業でも利用可能であるが、注意が必要であるということがわかった。というのも、製品のレベルによって上に挙げた指標が変わる場合もあるためである。単に指標だけで理解することは誤った認識をする恐れがあるが、指標化は可能であり、18年度は比較検討を進めたい。 研究実績として特に記述したいのは、「絵作りの能力」という組織能力を発見し、提唱したことである。「絵作りの能力」とは綺麗な絵を実現することを目的とした組織能力である。だが、この組織能力は綺麗な絵の実現だけに活用されたのではなく、実際には製品の性能向上、機能追加にも効果的であったのである。そして、「絵作りの能力」は多くの日本企業にあって、多くの外国企業にない組織能力であり、日本企業が製品面で先進性を維持し続けた重要な要因と考えられる。この「絵作りの能力」について学会の意見を吸収するために3度の研究報告の機会を得て、多くの研究者から意見を頂戴した(2006年度発行の学会誌に2本の論文が掲載予定)。今後もインタビュー調査、文献研究等を通じて精緻な概念化をし、「絵作りの能力」をキー概念に日本企業の国際競争力の維持メカニズムを解いてみたい。
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Research Products
(1 results)