2006 Fiscal Year Annual Research Report
太古代から原生代前期までの海水組成進化ー流体包有物を用いた手法の開発ー
Project/Area Number |
05J54112
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澁谷 岳造 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 流体包有物 / 太古代 / 海水組成 / 炭素同位体 / 熱水系 |
Research Abstract |
太古代の海水組成を見積もることは初期地球の表層環境を議論する上で非常に重要である。近年、太古代発泡溶岩の空隙を埋める石英中の流体包有物から太古代の海水組成が議論され始めた。太古代の海底熱水系の沈殿物の一部は、発泡溶岩の空隙を埋める石英として存在する。また、その石英には多くの流体包有物が含まれている。この流体包有物は海水成分と熱水成分の混合であるため、その混合のトレンドから海水組成を見積もることが可能であると考えられる。しかし、既存の手法では技術的に溶存ガスを測定することが困難であった。さらに、流体包有物の二酸化炭素濃度は低いため無視できると解釈されてきた。もし、流体包有物の二酸化炭素濃度が高いとすると、これまでの流体包有物の研究において化学組成の見積もりが間違っている可能性がある。そこで本研究では溶存ガスを測定する手法を開発中である。一般に太古代の海水を含むと考えられる流体包有物は水、二酸化炭素、メタンを含んでおり、その炭素の安定同位体比からマントルと海水の混合比を推定することが可能である。そこから海水の濃度を見積もる。今年度は、35、32、30、22億年前の試料の岩石学的記載を行い、分析に適した試料を選定した。さらに、真空中で流体包有物を含む石英を破砕し、ガス成分を抽出する真空ラインを作成した。この真空ラインにおいて水、二酸化炭素、メタンを分離することが可能となった。今後はこの抽出法を太古代の試料に適用する。これにより、太古代から原生代前期までの海水中の二酸化炭素濃度、メタン濃度の経年変化が読み取れると予測される。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Geotectonic framework of the Blueschist Unit on Anglesey-Lleyn, UK, and its role in the development of a Neoproterozoic accretionary orogen2007
Author(s)
Kawai, T., Windley, B., Terabayashi, M., Yamamoto, H., Maruyama, S., Omori, S., Shibuya, T., Sawaki, Y., Isozaki, Y.
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Journal Title
Precambrian Research 153
Pages: 11-28