2005 Fiscal Year Annual Research Report
難治性神経変性疾患の細胞移植療法における統合創薬からの展開
Project/Area Number |
05J54262
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
位田 雅俊 京都薬科大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / 脳梗塞 / ミクログリア / 行動薬理学 / 神経細胞死 / 神経保護 / 細胞移植 |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)などの難治性神経変性疾患は、著しい神経細胞の脱落が生じ、原発部位に特有の神経症状を呈する。これらの神経変性メカニズムの全容は未だ明らかにされておらず、有効な治療戦略もないのが現状である。近年、治療薬が開発されているが、これらの薬物は基本的には対症療法にしか過ぎない。理想的な根治治療法は、障害を受け死に行く神経細胞を保護し、生き残った神経細胞を修復・再生させること、さらに神経細胞を補充・移植再生し神経ネットワークを再構築することである。 17年度実施した研究は、パーキンソン病モデルとして6-hydroxydopamine(6-OHDA)投与ラットモデルにマウス胚性幹(ES)細胞から分化誘導した神経様細胞を部位別移植し、行動薬理学的および免疫組織学的解析を行った。その結果、ES細胞をそのまま移植するより分化誘導した後に移植した方がより行動改善が認められたこと、また複数の部位に移植した方がより行動改善が認められることが明らかとなった。さらに、ミクログリアの機能と神経障害との関連性に注目し、in vivo脳におけるミクログリアの神経障害に対するより直接的な役割を検討するため、神経変性疾患モデルラット脳へのミクログリア移植を行った。その結果、脳梗塞モデルラットの脳室内に同じ系統のラット胎児から調製したミクログリアを移植すると虚血性神経細胞死の抑制および運動機能障害の改善することが明らかとなった。このミクログリアの神経保護作用にはグリア細胞由来と考えられる神経栄養因子が関与していることが示唆された。このように、難治性神経変性疾患における、細胞移植療法の有用性が推定された。
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Research Products
(4 results)