1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 凱宣 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (40111091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KENDALL L. アメリカ自然史博物館, 人類学部門, 学芸員
POSTER A. G ブルックリン美術館, 東洋美術部門, 学研員
KATZ A. H ペンシルバニア大学, 博物館・大洋州部門, 研究員
FITZHUGH W. 米国国立自然史博物館, 極北研究所, 所長
KREINER Jos ドイツ日本研究所, 研究員
西本 豊弘 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (70145580)
出利葉 浩司 北海道開拓記念館, 学芸員
切替 英雄 北海学園大学, 教養部, 助教授 (20205040)
佐々木 利和 東京国立博物館, 資料部, 室長 (80132702)
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Keywords | アイヌ文化 / アイヌ物質文化 / 北方文化 / 博物館コレクション / 北太平洋地域 |
Research Abstract |
今年度はアメリカ東部の国立自然史博物館、ペンシルバニア大学博物館、アメリカ自然史博物館、ブルックリン美術館において資料調査を行うとともに、ドイツからの研究者(3名)およびアメリカの研究者と、欧米のアイヌ資料の特徴と相違について考察し、議論した。明らかにヨーロッパのアイヌ資料のほうが収集の歴史が古く、数量的に充実している。また、ヨーロッパの資料は樺太アイヌの資料も多く含むが、北米のそれには樺太アイヌのものは比較的少ない。これらは両地域の自然史学の発展、自然史博物館の成立の歴史の違いを反映している。さらに、両地域のコレクションの特徴から、北海道内のアイヌ文化の地域的特質がかなり明らかになってきた。アメリカ側の研究分担者の一人L・ケンドールは、11月に札幌、白老、二風谷などで資料調査を行い、札幌の北海道開拓記念館を中心に各地での研究者と意見交換をおこなった。また、W・W・フィッツヒューは3月にハバロフスクの郷土博物館の資料調査を行うとともに、名古屋、東京において研究打ち合わせを行った。萩原真子(千葉大学)を代表者とする研究グループは、今年度から、ロシアのサンクト、ペテルブルグの人類学民族博物館所蔵のアイヌ・コレクション調査を開始し、樺太アイヌの物質文化を中心に、新たな知見をもたらしはじめた。一両年うちに、日欧米の資料にもとづくアイヌ物質文化についての見解に大きな修正を加える必要が生じてきたといえる。なお、米国国立自然史博物館極北研究センターにおいて、「アイヌ文化・失われた宝物、生きている文化(仮称)」という特別展覧会の企画が具体的な準備段階に入ったことを付記しておきたい。
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