1994 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素化合物を用いる複素環式化合物の環構築反応の開発
Project/Area Number |
06241242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 卓 京都大学, 化学研究所, 助手 (10027055)
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Keywords | 希土類化合物 / 硝酸セリウムアンモニウム / 2-イソオキサゾリン / 1,3-双極子環状付加 / ニトリルオキシド |
Research Abstract |
硝酸セリウムアンモニウムの存在下,アルケンから直接的(eq.1)な,および,アルケンと一級ニトロアルカンとから(eq.2)の2-イソオキサゾリン環の環構築が達成された.そして,これらの両反応に関して,下記のような特徴を見いだし,それによって本反応の概要を明らかにすることが出来た. (1):本反応を進行せしめる為には,ギ酸のpKa(3.75)或いはそれよりも小さなpKa値を持つカルボン酸の存在が必要とされる.(2):4価の1を用いた場合には,適当な添加剤(例えば,あるbasicityを持ったカルボニル化合物や,ある還元能を持った金属粉など)の存在が必要である.しかし,2を用いた場合には,これらの添加剤の存在は必須ではない.(3):いずれの硝酸セリウムアンモニウムとも,反応時には3価のギ酸セリウムに変換される.(4):これらの反応は,それぞれの硝酸セリウムアンモニウムの助けを借りて生成したニトリルオキシドを通って進行す.(5):セリウムイオンはNO_xのキャリアーとして作用していると同時にニトロ化合物のactivatorとしても作用している.又,硝酸アニオンNO_x源として働き,いずれも本反応の進行に対して必須である.(6):Eq.1においては,ニトロソ基および/あるいは,オキシム基を持つニトロ化合物が,ニトリルオキシドの前駆体であると考えられる. 以上の事から,この反応について妥当と思われる反応スキームを提唱した. 本反応は,環境問題的に好ましくないNO_xをセリウム元素上に固定して使用することにより大きな役割を果たさしめたという点で新しく,かつ注目すべきイソオキサゾリン環構築法を開発した点に価値を見いだし得るものと思われる.
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Research Products
(1 results)