1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06246223
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川口 修 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051632)
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Keywords | 水素 / 火炎安定 / 予混合燃焼 / ガスタービン燃焼器 / 乱れの特性 |
Research Abstract |
エクセルギー効率の向上とCO_2フリー燃焼を目指して、水素をガスタービン燃焼器の燃料として用いることが考えられており、本研究はそのための基礎研究である。ガスタービン燃焼器のように、高速流中で高負荷燃焼を行わせようとすると、燃焼を如何に広範囲の条件下で安定に行わせるかが重要になる。本研究では、一様流のメタン/空気あるいはメタン/水素/空気の予混合気流中に円柱型の保炎器を設置し、これに安定化された予混合火炎の希薄安定限界が、上流の乱れ特性にどのように影響されるかについて定量的に調べたものである。その結果、以下の結論を得た。 (1)乱れが強く,小さいスケールの予混合気流においては,化学的特性時間の大きさが混合特性時間を上回り,化学反応が混合に追い付かなくなり吹き消えが起こる。 また,乱れが弱く,大きいスケールの流れの場合,乱れが予混合気の燃焼に及ぼす影響は小さく,希薄可燃限界ちかくまで火炎が保持される。 (2)メタンの一部を水素に置換することで火炎安定限界は希薄側へ変化するが,燃料の変化にかかわらず火炎安定限界は,化学的特性時間と混合特性時間の比であるコヴァツネ-数により評価できる。 (3)乱れの強い場において,保安器後流に形成される再循環領域では未燃ガスと既燃ガスの混合が激しく行なわれ,分散反応型火炎に近い構造となる。 すなわち、予混合気流中に保持される火炎への乱れの特性の影響について有用な知見を得ることが出来たので、今後さらに乱れ構造と吹き消え現象との関係を、水素を燃料とした場合について詳細に把握する努力をする積もりである。
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