1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06258216
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山田 優子 自治医科大学, 医学部, 講師 (50049087)
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Keywords | tRNA^<Ser>_1 / 細胞分裂 / serT / serT42 / ts(温度感受性) |
Research Abstract |
大腸菌では細胞周期に依存する一連のタンパク質の発現を調節する機構が働いており、serT遺伝子産物であるtRNA^<Ser>_1が関わっていることが知られている。tRNA^<Ser>_1のG_<10>がAに変異したserT42変異株では細胞分裂がts性を示すようになる。細胞周期の過程でtRNA^<Ser>_1がどの様に関わっているのか興味深い。42℃におけるDNA合成の停止部位は特異的ではないという報告があるので、転写あるいは翻訳のどちらのレベルで働いているのか知るために、この変異株に対してセリンtRNA 遺伝子のアンチコドン部位を変えたものを導入し、生育およびβ-galactosidaseの発現に対する42℃での回復を調べたところ、tRNA^<Ser>_1でのみ認識されるUCAコドンに対応できるtRNA^<Ser>_1(wt)、tRNA^<Ser>_1(T_<34>)の遺伝子の導入およびtRNA^<Ser>_1(G_<34>)遺伝子導入によって両回復がみられた。後者の場合はアンチコドン3'側に隣接したヌクレオチドの修飾がコドン-アンチコドン認識に影響を与えているのではないかと推察する。また、変異型のtRNA^<Ser>_1(A_<10>)遺伝子をマルチコピーベクターで導入した場合でもβ-galactosidase発現や生育は回復する。このことからtRNA^<Ser>_1は翻訳レベルでの関与が強く示唆される。42℃ではtRNA^<Ser>_1(A_<10>)の発現は30℃の約60%に落ちるが、tRNA^<Ser>_1(wt)も同様であった。in vitroのtRNA^<Ser>_1(A_<10>)のセリン受容活性はts性を示さず、in vivoではtRNA^<Ser>_1(A_<10>)は42℃でも殆どセリンを受容した形で存在していた。また、tRNA^<Ser>_1(A_<10>)はDステムのはじめの塩基対形成ができないために42℃、in vivoでは極めて不安定であった。従って42℃において30℃時の約60%量を維持するためにはtRNA^<Ser>_1(A_<10>)自体の発現量は何らかの機構が働いて非常に活発になっているのではないかと推察される。
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Research Products
(1 results)