1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06283206
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
|
Keywords | 造血器腫瘍 / 染色体転座 / 11q23転座 / MLL遺伝子 / MEN遺伝子 / 転写伸長活性 |
Research Abstract |
これまでに造血器腫瘍に伴う様々な染色体異常が報告されており、特に転座型の異常については転座切断部位に存在する遺伝子の異常と腫瘍化との関連が注目されている。染色体11q23領域に関連した染色体転座は造血器腫瘍においてしばしば認められ、その腫瘍化のメカニズムに重要な役割を担っていることが示唆される。11q23転座の中で最も頻度の高い染色体転座t(11;19)(q23;p13)は、19番染色体側の切断点によって、t(11;19)(q23;p13.3)とt(11;19)(q23;p13.1)に分類することができる。前者は小児白血病に多く認められ、他の11q23転座と同様にリンパ系の腫瘍やリンパ系と骨髄系の両方の性質を有した腫瘍が認められるが、後者においては骨髄系の腫瘍のみが認められることが特徴的である。前者の染色体転座ではMLL遺伝子と19番染色体上のMLLT1(LTG19,ENL)遺伝子が融合遺伝子を形成することが既に知られているが、後者については、転座の相手方遺伝子は不明である。我々はt(11;19)(q23;p13.1)転座の分子機構を明らかにするとともに、t(11;19)(q23;p13.3)とt(11;19)(q23;p13.1)で引き起こされる白血病のタイプが異なる理由を知る目的で研究を行った。本研究ではt(11;19)(q23;p13.1)転座に関わる19番染色体転座部位の遺伝子を同定することを試み、MLLと新規遺伝子MENが融合遺伝子を形成していることを明らかにした。得られたMLL/MEN融合cDNAクローンには、MLLのexon1からexon7ないしexon8までの塩基配列にMENのほぼ全長の塩基配列が連続するMLL/MEN融合蛋白質をコードするものと、MLLとMENの配列の間にin-frameの停止コドンを含む120塩基の配列の挿入があり、MLLのN末側の約1400のアミノ酸に30アミノ酸が加わった蛋白質(truncated MLL)をコードするものが存在した。MENおよびMLL蛋白質に対する抗体を作成し、MEN、MLL/MEN、truncated MLL遺伝子が実際に細胞内に予想されるサイズの蛋白質として翻訳され、さらに免疫染色でこれらはすべて核内に存在することを証明した。最近、Conawayらは、Ratの肝臓の核蛋白から転写伸長活性を有する蛋白質を精製してアミノ酸配列を決定し、MENのRatホモログであることを示した。転写伸長活性の亢進が癌化に関与する可能性を考え、MEN、MLL/MEN、truncated MLLをRat-1細胞に強制発現させたところ、いずれも軟寒天培地で多数のコロニーを形成し、足場非依存性増殖能の獲得が認められた。以上より、細胞内での転写伸長活性の亢進と細胞癌化との関連が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kurokawa M.: "Overexpression of the human AML1b proto-oncoprotein leads to neoplastic transformation of NIH3T3 cells." Oncogene.12. 883-892 (1996)
-
[Publications] Yamagata T: "Molecular cloning of a novel IRF family transcription factor,ICSAT/Pip/LSIRF,that negatively regulates the activity of the interferon-regulated genes." Mol.Cell.Biol.16. 1283-1294 (1996)
-
[Publications] Nakamoto T.: "Direct binding of C-terminal region of p130Cas to SH2 and SH3 domains of Src kinase." J.Biol.Chem.271. 8959-8965 (1996)
-
[Publications] Ogawa S: "Structurally altered Evi-1 transcript is generated by inv(3)(q21q26) in a cell line derived from chronic myelocytic leukemias in blastic crisis." Oncogene. 13. 183-192 (1996)
-
[Publications] Tanaka T.: "The extracellular signal-regulated kinase pathway phosphorylates AML1,an acute myeloid leukemia gene product,and potentially regulates its transactivation ability." Mol.Cell.Biol.16. 3967-3979 (1996)
-
[Publications] Kurokawa M: "A conserved cysteine residue in the runt homology domain of AML1 is required for the DNA-binding activity and the transforming activity on fibroblasts." J.Biol.Chem.271. 16870-16876 (1996)