1994 Fiscal Year Annual Research Report
文化財の修復に用いられた材料の効果に関する追跡研究
Project/Area Number |
06301010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
増田 勝彦 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (40099924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
尾立 和則 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 研究員 (40249917)
川野邊 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (00169749)
青木 繁夫 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (60088797)
中里 壽克 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (20000458)
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Keywords | 修理材料 / 合成樹脂 / エポキシ樹脂 / アクリル樹脂 / 建造物 |
Research Abstract |
修理材料と修理記録の調査 過去30年間にわたる建造物修理記録から修復に用いられた材料の中から合成樹脂を中心として、人工の材料を用いた修復材量を抽出し、整理した。 特に合成樹脂を用いた修理例を構造用、接着用、修飾用に分類整理を行った。その結果、高分子化学の進展に伴い、多くの材料が用いられ、10年以内の比較的短い周期で、交替していることがわかった。反面、一部のエポキシ樹脂、アクリル樹脂などは、初期から一貫して用いられてきた例も認められた。 修理例の追跡調査 建造物および考古資料に関しては、報告書による調査と平行して、実例の調査も行った。その結果、温湿度などの環境条件と施行後の経過時間との相関が認められた。それ以外に、同一の材料、類似の環境と同様の経過時間にもかかわらず、結果に大きな変化が認められたものもあった。これは、施行時の条件、たとえば、2液型の合成樹脂であれば、両液の量的な厳密さ、混合時の均一さ、混合時の湿度、施工時間などの施工管理の質の問題ではないかと推測している。この点に関しては、より多くの事例に関して、調査を計画している。 彫刻・工芸品の修理例に関しては、修理報告書に基づき調査例の収集を行っている。収集事例が少ないために、全体的な傾向に関しては、はっきりしないが、既調査例に関しては、充填財、接着剤などそれぞれの用途について1,2種類の材料が用いられており、建造物におけるほど多くの種類の材料が用いられていないようである。
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