1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06301012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 敬一郎 名古屋大学, 文学部, 教授 (20023591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義信 愛知淑徳大学, 文学部, 教授 (00036675)
原 政敏 朝日大学, 法学部, 教授 (10093064)
林部 敬吉 静岡大学, 教養部, 教授 (20023624)
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Keywords | 視空間 / 奥行情報検出 / 視空間構造 / 空間表象 / ガンツフェルト / 等質視野 / 刺激還元事態 / 視環境 |
Research Abstract |
1.本研究は,視覚還元事態であるガンツフェルト(GANZFELD;等質視野)における心理的体験の発生・発達過程を解明しようとするものである.すなわち,この原初的空間における「外界」および「自己」の意識のダイナミズムに着目し,「空間以前」ともいうべき位相を,言語的・生理的・行動的測度によって解析するとともに,その特性を奥行情報検出機構・視空間構造・空間表象などの心理学的諸問題と関連づけて検討することを目的としている. 2.今年度は,ガンツフェルトにおける諸印象を自由口述法によって報告させ,その内容にもとづいて特性分析をおこなうとともに,同時収録した瞳孔反応を計測し,両者の関連を検討した.その結果,基本的な現象特性を明らかにすることができ,そのうち特に空間印象・暗化・色変化と対応して生起する眼球・瞳孔系活動の特徴を明らかにすることができた.この成果は新たな知見であり,視空間の心理学的研究に多大の示唆を与えるものと考えられるので,現在欧文論文にまとめて投稿中である. 3.実験的分析と並行して,ガンツフェルト事態における現象分析の報告例の収集に努めた.その結果,本研究と類似の発想にもとづく研究は他に例をみないことが確認されたが,本研究の主目的を達成する上で,われわれの実験的成果をそれら先行研究の所見とどのように関連づけるかについても種々の観点から検討した. 4.研究はほぼ計画どおりに進行している.ただ,瞳孔・眼球系反応の計測にあたって,当初予期し得なかった問題が生じたこと,膨大な言語反応データの収集・整理予想以上の労力を要したことのために,さらに解析すべき課題が残っている.しかし,技法を確定して有意義な知見を得ることに成功しているので,本研究期間内に当初計画の目標を達成できる見込みである.
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