1995 Fiscal Year Annual Research Report
「生きている化石」深海熱水フジツボの進化生物学的研究
Project/Area Number |
06404001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 寿之 千葉大学, 理学部, 助教授 (10101106)
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Keywords | 深海熱水噴出孔 / 原始性 / DNA / 生きている化石 |
Research Abstract |
深海熱水噴出孔に生息するフジツボ類4亜目(エボシガイ,ブラキレパドモルファ、ハナカゴ,フジツボ亜目)の原始的な分類群の系統関係を,ミトコンドリアDNA(mtDNA)の塩基配列から再構築するために,浅海に棲む原始的なエボシガイ亜目の5種,より進化したフジツボ亜目のクロフジツボ類の近縁種間7種,アカフジツボ類3種,タテジマフジツボ類3種について,ミトコンドリアDNAのCOI領域の塩基配列を用いて系統解析を試みた. 前年報告したクロフジツボ類3種(クロ,ミナミクロ,タイワンクロ)に加えて西太平洋に広く分布するより原始的なNewmanella,Tesselopora,Tetraclitellaの合計4種のmtDNAを調べた.予想通り3種のクロフジツボよりも原始的な系統関係が得られた.地理的な変異や遺伝し的距離を明らかにする研究を継続中である.アカフジツボ類3種(アカ,オオアカ,ミナミアカ)についてもクロフジツボ類と同様に分布の最も広いモナミアカフジツボがより原始的で,それらからアカ,オオアカが派生したという結果を得た.これに加えて,南西太平洋に棲むAustromegabalanusや他のアカフジツボ類を系統解析のために塩基配列を解析中である. またアカフジツボ類と同様に大きな分類群で分類が混乱しているタテジマフジツボ類については種間の形態差以上に塩基配列の違いの大きさが我明らかになりつつあり,形態的進化速度と分子レベルの進化速度の違いに興味を持った. ミミエボシについて解析中で、前3種(ミョウガガイ科)と後3種(エボシガイ科)のいずれが原子的な分類群かという蔓脚類の最も原始的な分類群を明らかにすることに大いに貢献するものと思われる. 以上次年度への新しい課題も生まれてきた.
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Research Products
(1 results)