1994 Fiscal Year Annual Research Report
多動児(学習障害児)の動物モデルの生理心理学的研究
Project/Area Number |
06451015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 庸男 筑波大学, 心理学系, 教授 (70092509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 幸男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (80176289)
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Keywords | 6-hydroxydopamine / 新生仔期処置 / 脳内ドパミン / 多動 / 中枢興奮薬 / マイクロダイアリシス / 学習障害 / ラット |
Research Abstract |
6-hydroxydopamine(35μg×2,ivt)およびその前処置としてdesipramine(20mg/kg,sc)を生後2・4日齢に処置されたドパミン涸渇ラットを用いて研究をおこなった。1・2・3・4・6・8週齢のいずれか2回における30分間ずつの活動性テストをおこなったところ、特に3週齢でドパミン涸渇ラットが統制群よりも顕著な移動を示すことがわかった。続いて、13〜15週齢時に認知的障害の有無を調べるためにHebb-Williams迷路学習をおこなったところ、ドパミン涸渇ラットは選択地点が4つある課題では統制群よりも有意に誤りが多いことが認められたものの、選択地点が3つの課題では統制群との間に誤り数の差はみられなかった。さらに、設備備品費で購入したマイクロダイアリシス用高速液体クロマトグラフを用いて、ドパミン涸渇ラットの生体時の線条体および側坐核におけるドパミン放出量を分析したところ、組織中のドパミン含有量の減少と比較して細胞外のドパミン量はそれほど減少していないという興味深い結果が得られ、これらのラットにみられる行動的補償作用との関連が示唆されている。現在は、離乳時のドパミン涸渇ラットの線条体および側坐核におけるドパミンの放出の動態を調べているところである。当初の予定であった学習時の生化学的分析という目標は、残念ながら方法上の問題から断念せざるをえないが、われわれが使用した6-hydroxydopamine処置の手続きによって、多動や迷路学習障害が発現したこと、および脳内のドパミンが選択的に減少したことが確認された。
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