1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50091400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升本 順夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60222436)
和方 吉信 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90201871)
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Keywords | インド洋 / 海洋大循環モデル / モンスーン / 季節変動 / 経年変動 / インドネシア通過流 / ロスビー長波 / 海洋物理学 |
Research Abstract |
昨年度までに開発した高解像海洋大循環モデルに月平均気候値の外力を与えて駆動した季節変動実験の結果の詳しい解析を行った。また、米国ジェット推進研究所のハルパーン博士より入手したERS-1衛星の風応力と米国NMCのレイノルズ博士が作成した全球海面水温データを外力として与える経年変動実験を行ない、インドネシア通過流及びインド洋表層の季節・経年変動機構を詳しく調べた。経年変動実験では、科学技術庁JEXAMプロジェクトで得られた表層漂流ブイの軌跡とモデル中の仮想ブイの軌跡が良く一致すること、また、モデルで再現された表層水温場がインド洋の広範囲にわたり展開されている高解像XBT観測結果とも良く一致することが明らかとなり、数値モデル研究の有効性を示した。 インド洋の南半球熱帯域には、20度等温面で代表される主温度躍層の上下動の季節変動が大きい領域があり、海面高度偏差の季節変動に見られる大振幅領域とほぼ一致する。また、ほぼ同じ領域で、季節変動と同等の振幅を持つ経年変動も見られることが分かった。これらの変動には、インド洋上のモンスーンに伴うエクマンパンピングと海洋中のロスビー長波の西進の両者が重要な働きをしていることが明らかとなった。季節変動に関しては、境界条件となるインド洋東岸での変動は重要ではない。一方経年変動では、太平洋からインドネシア多島海を通って伝播してくる沿岸ケルビン波も重要であることが分かった。 また、本モデルで得られたインドネシア通過流の力学バランスは、これまで考えられていたような単純なスヴェルドラップ・バランスでは説明できず、そこに含まれない項も重要であることが明らかとなった。 これらの成果は、インド洋、インドネシア多島海域を対象とする一線級の研究者が集まる国際会議等で高く評価されている。本研究の最終年度として、これらの成果をまとめて印刷、公表した。
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[Publications] R.Lukas: "Pacific low-latitude western boundary currents and the Indonesian throughflow" J.Geophys.Res.101. 12,209-12,216 (1996)
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[Publications] T.Yamagata: "Seasonal Variations in the Equatorial Indian Ocean and their Impact on the Lombok throughflow" J.Geophys.Res.101. 12,465-12,473 (1996)
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[Publications] Y.Masumoto: "Seasonal Variations of the Indonesian throughflow in a general ocean circulation model" J.Geophys.Res.101. 12,287-12,293 (1996)
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[Publications] 山形 俊男: "インドネシア通過流の年変動と半年変動について" 海と空. 71. 97-112 (1996)
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[Publications] 山形 俊男: "「大気・海洋の相互作用」第5章 大規模な相互作用の基礎" 東京大学出版会, 155-206 (1996)
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[Publications] 山形 俊男: "岩波講座 地球惑星科学II 気候変動論,数十年から数百年の気候変動を決める海洋" 岩波書店, 69-101 (1996)