1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯科インプラントの上部構造用チタン系鋳造用合金の開発に関する研究
Project/Area Number |
06452375
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
安藤 進夫 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (00095051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 邦俊 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (00233297)
中山 正彦 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (90095068)
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Keywords | 歯科インプラント / チタン合金 / 鋳造用合金 / 耐食性 / 電気化学的腐食 / 機械的性質 |
Research Abstract |
チタンは生体との親和性、耐食性、機械的性質など、多くの利点を有しているが、融点が1670℃と非常に高いうえに高温で酸化しやすく、多くの埋没材やルツボ材と反応しやすく、鋳造欠陥ができやすいなどの欠点もあり、現状では鋳造が非常に難かしく面倒な金属である。 本研究では、純チタンに各種金属を添加し、合金化による融点の降下、ガス吸収や活性の低下・抑制等を目的とし、歯科インプラントの上部構造としての機械的性質を兼ね備え、下部構造との電気化学的腐食を発生させない合金組成の検討を行った。まず、純チタンに添加する金属元素としてパラジウムを選択し、チタンにパラジウムを5%間隔で10〜25wt%添加することとして所要量を秤量し、アルゴン雰囲気中でアーク溶解し、銅ルツボ中に鋳込み、インゴットを製作した。合金の融解温度はおよそパラジウムの添加により1600℃まで低下したが、溶湯の流動性はほとんど改善されなかった。セレベストCBを用いて指定された方法で板状試料を鋳造し、試料表面は、酸化膜除去後さらに研磨した。電気化学的腐食挙動の目安として、リンゲル液中における約120分後の飽和カルメロ電極に対する電位を自然電位として、合金間で比較した。純チタン(JIS第1種)で-320〜-380mVの電位を示し、15%Pdまでは電位は向上、20、25%Pdでは多少減少したが、純チタンとの電位の差は最大100mVであり、チタンインプラントの上部構造用合金として、耐食性の点では問題ないと評価された。 鋳造試料のビッカース硬さは、10〜20%Pdで約330、25%Pdで350〜371で、鋳型の材質や合金の融解方法や融解回数で変化する。また、JIS第1種チタンの硬さは、鋳造体で約HV 200、鋳造前のインゴットはHV 90であることより、金属融解中の酸化よりむしろ鋳込中の合金の酸化防止が重要であり、そのためには、鋳型材を変更し鋳造工程を確立する等の検討を必要とすると考えられる。
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