1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454030
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 建美 金沢大学, 理学部, 教授 (90021203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 邦彦 金沢大学, 理学部, 助教授 (60184925)
山口 和男 金沢大学遺伝子実験施設, 教授 (00019879)
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Keywords | 塩基配列 / オルガネラDNA / 核DNA / 高山植物 / 植物地理学 / DNA植物地理学 |
Research Abstract |
本研究は隔離効果が強くDNAの種内多型が期待される高山植物を対象に、その起源、伝播経路、分布パターンの成立過程といった生物地理学的課題をDNA情報を導入することによって解明し、DNA植物地理学に先鞭をつけることを目体としている。 本年度は既に収集ずみの材料に加え、新たに国内で10数種の材料を収集するとともに、国外の試料については英国王立Kew植物園およびEdinburgh植物園から分譲を受けた。初年度は入手した材料から全DNAを抽出し、17種について葉緑体DNAのtrnLおよびtrnFの遺伝子間領域199〜428塩基対をPCR法によって増幅、1集団1サンプルにつき塩基配列を決定した。その結果、アキノキリンソウ(16集団)・イワギキョウ(6集団)・エゾコザクラ(14集団)・オオバノヨツバムグラ(3集団)・ガンコウラン(3集団)・キバナコマノツメ(2集団)クロユリ(6集団)・コケモモ(13集団)・トウヤクリンドウ(10集団)・ミツバオウレン(2集団)・モニジカラマツ(2集団)・ヤナギラン(11集団)・ヤマハハコ(4集団)は多かれ少かれ集団間多型を検出できたのに対し、ゴゼンタチバナ(4集団)・コミヤマカタバミ(2集団)・ハクサンチドリ(14集団)・ミヤマキンポウゲ(2集団)では多型は認められなかった。なかでも、エゾコザクラは種内に7塩基対の塩基置換と2個の挿入/欠失が検出され、6種の葉緑体ゲノムが識別され、これらのゲノムの分布が一定の地理的傾向を示したことから、本種が北方から南下し、日本列島各地で順次に分化したことが示唆された。次に、核遺伝子(ITS)の塩基配列を調べたところ、9個のゲノム型が検出された。葉緑体DNAと核DNAの塩基配列から得られた2つの地域系統樹の間には矛盾はなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 藤井紀行,植田邦彦,錦野康行,清水建美: "Introspecific vaiation of chloroplast DNA in Primula cuneifolia" 植物地理分類研究. 43(発表予定). (1995)