1996 Fiscal Year Annual Research Report
魚類ウイルス病の遺伝子診断法の開発とその応用に関する研究
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06454095
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉水 守 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40122915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 豊彦 広島大学, 生物生産学部, 助手 (10222184)
沢辺 智雄 北海道大学, 水産学部, 助手 (30241376)
田島 研一 北海道大学, 水産学部, 助教授 (80002252)
絵面 良男 北海道大学, 水産学部, 教授 (80001618)
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Keywords | ウイルス性神経壊死症 / 伝染性造血器壊死症 / PCR / ELISA / VNN / IHNV / IPNV / HRV |
Research Abstract |
本年度、ウイルス性神経壊死症(VNN)を対象に感染履歴を有するウイルスキャリヤ-新魚のPCRによる遺伝子診断結果と実際の孵化仔魚の発病例を比較すると共に、可変領域の遺伝子の変化からウイルスの進化速度を求め疫学的調査結果と比較した。一方培養が可能な伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)を対象に培養法とPCRを組み合わせた検出法の改良および濾過膜により補足したウイルス遺伝子の検出を試み、さらに伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)の同時検出を試みた。また海産魚のラブドウイルス病に関しても遺伝子診断が応用できるように、HRVの塩基配列を検討した。得られた成果は以下のとおりである。 1.PCRによる遺伝子診断法には検査試料の関係から限界があり、VNN不顕性感染魚あるいはキャリヤ-の検出法として遺伝子組換え大腸菌が産生する外被タンパク質を抗原としたELISA法とPCRを併用することにより、ウイルスキャリアの検出が可能となった。 2.神経壊死症原因ウイルスのRNA2遺伝子の可変領域の塩基配列から、本病原因ウイルスの進化速度を求め、宿主である魚種の種苗の移動との関連性を考察し得た。 3.VNN原因ウイルスに感受性を示す細胞として、グル-パ-のNNVを対象にシ-バス由来のSBK-2細胞を見い出すことができた。 4.海産魚のラブドウイルス(HRV)のM1およびM2タンパク質をコードしているRNAの塩基配列を明らかにし、HRV特有の塩基配列を明らかにし得た。 5.IHNVの増殖が早くかつ産生量の多いRTE-2細胞を用いた培養細胞中のウイルスあるいは濾過上に補足したウイルスの遺伝子をPCRで検出し、最確数法で計数することにより環境水中のIHNVの計数が可能になった。 6.IHNVに対するプライマーとIPNVに対するプライマーを同時に用い、最適条件下でPCRを行うことにより、同時に両ウイルスの遺伝子検出が可能になった。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Nishizawa, T: "Comparison of the coat protein genes of five fish nodaviruses, the causative agents of viral nervous necrosis (VNN) in marine fish." J. Gen. Virol.76. 1563-1569 (1995)
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[Publications] Nishizawa, T.: "Nucleotide sequence of the 2 matrix protein genes (M1 and M2) of hirame rhabdovirus (HRV), a fish rhabdovirus." Vet. Res.26. 408-412 (1995)
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[Publications] Nishizawa, T: "Failure of polymerase chain reaction (PCR) method to detect striped jack nervous necrosis virus (SJNNV) in striped jack Pseucb caranx dentex selected as spawners." J. Aqua. Animal Health. 8. 332-334 (1996)
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[Publications] Nishizawa, T.: "Genomic classification of fish nodaviruses by a molecular phylogenetic analysis of the coat protein gene." Appl. Environ. Microbiol.(印刷中). (1997)
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[Publications] 吉水 守: "魚類ウィルス特集・はじめに" ウィルス. 46. 49-52 (1996)
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[Publications] 西澤豊彦: "魚類ウィルス特集・海産魚のssRNAウィルス" ウィルス. 46. 67-72 (1996)
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[Publications] Nishizawa, T.: "Molecular analysis of fish nodaviruses" ″Proceedings of New Approaches to Viral Diseas es of Aquatic Animals.″ Ed. Inui, Y. NRIA. (印刷中). (1997)
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[Publications] Yoshimizu, M.: "Antibody screening for the identification of nervous necrosis virus carriers in a flounder brood stook." ″Proceedings of New Approaches to Viral Diseases of Aquatic Animals.″Ed. Inui, Y. NRIA. (印刷中). (1997)
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[Publications] 吉水 守: "魚類由来培養細胞のウィルス感受性" 日水誌. 63(印刷中). (1997)
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[Publications] 吉仲桃子: "サケ科魚類卵巣腔液からの伝染性造血器壊死症ウィルス(IHNV)の分離に適した細胞の選択" 魚病研究. 32(印刷中). (1997)
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[Publications] 西澤豊彦: "魚病学概論" 江草周三・室賀清邦編・恒星社厚生閣, 177(141-144) (1996)
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[Publications] 吉水 守: "魚病学概論" 江草周三・室賀清邦編・恒星社厚生閣, 177(144-148) (1996)