1994 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中のHIV特異抗体の疫学的・病態的意義に関する研究
Project/Area Number |
06454241
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
曽田 研二 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80154706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90106302)
伊藤 章 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50046059)
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Keywords | AIDS / HIV / 唾液 / HIV抗体 / ELISA法 / 疫学 / CD4 / CD8 |
Research Abstract |
HIV(Human Imuunodeficiency Virus)抗体スクリーニング検査は血清について行われているが、採血は痛みや不快感などから協力が得られにくく、一般集団や種々のハイリスク集団を対象とする疫学調査においてその実施は困難なことがある。血清に代って容易に採取し得る材料でのHIV抗体スクリーニング検査を確立することの意義は大きい。本研究では以下の点を明らかにすることを目的とした。1)唾液中のHIV特異抗体の変動の有無、恒常性等を調べ、抗体検査の有用性を明らかにする。2)種々の病型のHIV感染者を追跡し、病態及び病型の変化と唾液中のIgG、IgAクラス別特異抗体との関連性を検討する。3)HIV感染リスク集団の唾液中のHIV及びHSV抗体測定成績から、疫学調査・研究における唾液の有用性を明らかにする。 平成6年度までの研究経過を以下に概説する。1)本研究は、既に2年前から開始され、研究協力の同意を得たうえでの対象者の確保に努めてきた。研究初年度(6年度)は、これらの研究対象者から血清及び唾液等の材料を採取し、ELISA法、WB法を用いて抗体測定および確認検査の検討を行った。2)唾液中のHIV抗体の日内変動(午前9時30分、11時30分、午後12時30分、2時、4時に採取)を検討したが、ほぼ同程度の吸光度を示す成績が得られた。また、1年間に数回にわたって採取できた検体でも恒常的にHIV抗体を検出することが出来た。3)感染者の病態を知る指標となる、CD4、CD8数は、日内変動は大きくなかったが、日差変動のあることが観察された。 HIV感染者の唾液中のHIV抗体については、恒常的に抗体を検出出来ること、日内の変動も見られないことなどが分かった。ただし、現在のELISAキットは感度が低く、他のキット(GACELISA法)がより唾液に適しているとの報告もあり、検討する予定である。
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