1994 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝の局所的調節機構に占める骨基質蛋白の役割と骨粗鬆症におけるその異常の解明
Project/Area Number |
06454336
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 俊夫 東京大学, 医学部(分), 講師 (20157374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 靖博 東京大学, 医学部(分), 助手 (50202164)
福本 誠二 東京大学, 医学部(分), 助手 (30202287)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 細胞分化 / TGF-β(transforming growth factor) / 基質蛋白 / インテグリン / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
閉経後および老人性骨粗鬆症の発症機序を解明し、これに基づく内科的予防・治療法を確立することを目的として、骨吸収および骨形成の両面から骨代謝調節機構の総合的解析を試みた。 1.骨芽細胞の分化過程の調節系の解明:分化段階に依存した骨芽細胞機能の調節の少なくとも一部がTGF-β受容体の変化によりもたらされることを明かにした。即ち、分化に伴いTGF-β受容体は減少しその作用発現が抑制されるが、これと平行して石灰化機能と密接に関連するalkalincphosphatase(ALP)などの発現が高まることが明かとなった。TGF-βは基質蛋白合成を著明に促進する一方、骨芽細胞の分化を強力に抑制するが、TGF-β受容体の減少によりその分化抑制作用が解除され、石灰化能を有する成熟した骨芽細胞への分化が可能となるものと考えられる。 2.骨基質蛋白が骨芽細胞機能に及ぼす影響の解明:骨芽細胞を長期培養して見られる上記の変化はコラーゲン合成が維持されている条件下でのみ観察され、これが阻害されると認められなくなった。また、骨芽細胞が産生したコラーゲン基質上ではコラーゲン合成阻害下でもALPの上昇が認められ、この現象はコラーゲンとの接着に関与するα2β1インテグリンに対する抗体や結合阻害ペプチド(DGEA)の添加により阻害された。従って、自らが合成・分泌するコラーゲンとの接着が分化に重要な役割を演じていることが明かとなった。 3.老化促進マウスモデルを用いた検討:早期より骨粗鬆症様の骨変化を呈するSAMマウスでは、骨基質含量の低下、組成の変化、およびTGF-β含量の増加などに加え、骨髄間葉系細胞の分化能の抑制が認められた。しかも、正常細胞が産生したコラーゲン基質上では対照と同レベルにまで分化が促進されたことから、その産生する基質の異常およびTGF-β反応性の障害などが存在する可能性が明かとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yasuhiro Takeuchi,他: "Bone matrixdecorin binds transforming growth factor-β and enhances its bioactirity." Journal of Biological Chemistry. 269. 32634-32638 (1994)
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[Publications] Naohide Yamashita,他: "Imhibitior of inward rectifying K+current by external Ca2+ions in freshly isolatedrabbit osteoclasts." Journal of Physiology. 480. 217-224 (1994)
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[Publications] Hiroshi Kawaguchi,他: "Stimulation of fracture repair by recombinant human basic fibroblast growth factor in ncrmal and streptozctocin-diabctic rats." Endocrinology. 135. 774-781 (1994)
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[Publications] Toshiyuki Nakamura,他: "Stimulation of endosteal bone formation by Systemic injections of reccmbinatn basic fibroblast growth factor in rats." Endocrinology. (in press). (1995)
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[Publications] Yasuhiro Oue,他: "Effect of local injection of activin Aonbone formation in newborn rats." Bone. 15. 361-366 (1994)
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[Publications] Yasuhiro Takeuchi,他: "Relationship be tween actions of transforming growth factor(TGF)-β and cell surface expression of its recepters inclonal osteoblastic cells" Journal of Cellular Physiology. (in press). (1995)
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[Publications] 松本 俊夫: "骨・カルシウム代謝の調節系と骨粗鬆症" 洋土社・松本俊夫 編, 165 (1993)
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[Publications] 川口 浩・松本 俊夫: "新 図説臨床整形外科講座 第10巻 骨系統・代謝疾患" メジカルレビュー社, 323 (1994)