1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454387
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 敞 山口大学, 医学部, 教授 (20026834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 弘人 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60218592)
丹黒 章 山口大学, 医学部, 助手 (10197593)
濱中 裕一郎 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (40189618)
岡 正朗 山口大学, 医学部, 助教授 (70144946)
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Keywords | 膵切除 / プロテアーゼインヒビター / 膵再生 / 膵退縮 / 膵栄養効果 / 膵機能不全 / 膵DNA量 / 膵重量 |
Research Abstract |
プロテアーゼインヒビター(PI)による膵栄養効果が知られているが、この効果は膵切除後の残膵においても発現し、膵機能障害を改善するとされている。反面、発癌性の危険も指摘されており、PIの長期投与には問題があろう。しかし、PI投与中止後の膵栄養効果持続性に関する知見は極めて乏しい。そこで本研究では、PI投与による膵栄養効果発現およびPI休薬後の効果持続性を非切除膵および膵切除後残膵において経時的に観察、比較検討することにより、膵切除後の膵機能障害に対するPI投与の意義を明らかにしようと試みた。 (方法)7週齢Wistar系雄性ラット(n=40)を以下の4群に分けた。(I)単開腹群:単開腹+蒸留水投与、(II)単開腹PI群:単開腹+PI投与、(III)膵切群:膵切除+蒸留水投与、(IV)膵切PI群:膵切除+PI投与、膵切除はsplenic及びgastric segmentを切除した。PI投与は、camostat mesilate200mg/kg体重を術後第7日目より連日7日間強制胃内投与した。術後第7日および14日、21日、28日、42日目に屠殺し、いずれの群もparabiliaryおよびduodenal segmentの湿重量、蛋白含量、DNA含量を測定し比較するとともに、光顕的に検討した。(結果)膵湿重量および蛋白含量はPI投与により有意に増加し、その増加は膵切PI群でより顕著であった。PI投与終了後の膵湿重量と蛋白含量の推移は単開腹PI群では急速に減少し単開腹群との差はなくなるのに対し、膵切PI群では高値が持続した。DNA含量はPI投与により増加傾向を示した。組織学的には膵重量の増加と一致して膵線房細胞の肥大、チモ-ゲン顆粒の増加が見られた。また、単開腹PI群では一旦増加した膵重量の減少に伴い腺房細胞の萎縮、変性が認められた。(まとめ)PIによる膵栄養効果は非切除膵よりも切除残膵においてより顕著に発現し、PI休薬後もより長期間に亘り維持された。以上より、膵切除後の膵機能障害に対するPIの治療薬としての有用性が示され、その投与方法を考える上で示唆に富む知見が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yamamoto S,Suzuki T: "Adenocarcinoma of the pancreas accompanied by pancreatic abscess" Pancreas. 10. 104-107 (1995)
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[Publications] Hamanaka Y,Suzuki T: "Modified dunking pancreatojejunostiomy for a soft pancreas" Brit.J.Surg.82. 404-405 (1995)
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[Publications] Ueno T,Suzuki T: "Serum drug concentration of paracetamol to patients with surgical resecton of the gastrointestinal tract" Brit.J.Clin.Pharmac.39. 330-332 (1995)
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[Publications] Suga K,Suzuki T: "Thallium-201 SPECT and technetium-99m-phytate subraction liver imaging in the evaluation of pancreatic cancer" J.Nucl.Med.36. 770-762 (1995)
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[Publications] Yamamoto T,Suzuki T: "Bile acids and microorganisms in the jejunal lumen after biliary reconstruction in dogs" J.Am.Coll.Surgeons. 181. 525-529 (1995)
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[Publications] Ueno T.Suzuki T: "A proposal mechanism of early delayed gastric emptying after pylorus preserving pancreatoduodenectomy" Hepato-Gastroenterology. 42. 269-274 (1995)
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[Publications] 鈴木 敞: "消化器病学第4版(分担)" 医学書院, 500 (1995)
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[Publications] 上野富雄、鈴木 敞ほか: "膵頭十二指腸切除術の適応と術式の要点(分担)" 医学図書出版, 376 (1995)