1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織再生のための歯根膜線維芽細胞の硬組織形成幾序に関する研究
Project/Area Number |
06454540
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村山 洋二 岡山大学, 歯学部, 教授 (50029972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 雅之 岡山大学, 歯学部, 助手 (60243474)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
新井 英雄 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70222718)
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Keywords | 歯根膜線維芽細胞 / 硬組織形成 / ビタミンD_3レセプター / TGF-β / EGF / IGF |
Research Abstract |
ヒト歯根膜線維芽細胞のアルカリホスファターゼ活性をはじめとする骨芽細胞様の機能は,活性型ビタミンD_3やTGF-βなどによって制御されること,また,ヒト歯根膜線維芽細胞は自ら,硬組織代謝に関連の深い活性型ビタミンD_3に対するレセプターの発現を誘導する因子を産生・分泌していることを前年度までの研究で明らかにしてきた。 本年度は,活性型ビタミンD_3に対するレセプター発現の誘導因子をトランスフォーミング成長因子(TGF-β)をはじめとして,その他の代表的な成長因子について調べた。 我々は,ヒト歯根膜線維芽細胞がTGF-βを産生することをmRNAで確認しているので,活性型ビタミンD_3レセプターを誘導する因子の一つがTGF-βではないかと考えた。そこで,TGF-βをヒト歯根膜線維芽細胞に作用させたが,活性型ビタミンD_3レセプターmRNA発現を促進しなかった。このように,本実験では,TGF-βと活性型ビタミンD_3の作用が相互に関連しあっているという結果は得られなかった。 また,TGF-βは活性型ビタミンD_3に対するレセプター発現の誘導因子ではないことがわかったので,次に組織修復過程で活発に産生すると言われている上皮成長因子(EGF)とインシュリン様成長因子(IGF-I,II)についても調べた。その結果,EGF(200ng/ml)とIGF-I,II(100ng/ml)はいずれも活性型ビタミンD_3レセプターmRNA発現を誘導した。 以上の結果から,ヒト歯根膜線維芽細胞の硬組織代謝はさまざまな成長因子によってオートクライン制御を受けていることが示唆された。
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[Publications] F.Nishimura,S.Takashiba,Y.Murayama,et al: "The Effects of Aging on In Vitro Regenerative Capacity of Human Periodontal Ligament Cells" Journal of Dental Research. Volume76 Special Issue. 336- (1997)
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[Publications] H.H.Chou,S.Takashiba,M.Takigawa,F.Nishimura,H.Arai,Y.Murayama: "Role of Type II Interleukin-1 Receptor Exressed on Human Gingiral Fibroblests." Journal of Dental Research. Volume76 Special Issue. 406- (1197)
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[Publications] 新井英雄: "『歯周組織再生のメカニズムを探る』 歯周組織再生における歯根膜線維芽細胞の役割" 日本歯周病学会会誌. 38巻 秋季特別号. 52-53 (1996)
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[Publications] 峯柴淳二,高柴正悟,大平泰資,大室博正,滝川雅之,西村英紀,村山洋二: "LPSが誘導する転写因子NF-KBを介したサイトカイン産生の抑制" 日本歯科保存学雑誌. 39巻 秋季特別号. 51- (1996)