1995 Fiscal Year Annual Research Report
境界要素法による逆解析を利用した走査型振動電極腐食評価システムの開発
Project/Area Number |
06555026
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
青木 繁 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90016436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 昌克 住友金属工業(株), 鉄鋼技術研究所・防食研究室, 副主任研究員
天谷 賢治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (70251642)
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Keywords | 走査型振動電極法 / 境界要素法 / 逆解析 / 悪条件の緩和 / 分極特性 / 先験情報 / ファジ-集合 / 特異値分解 |
Research Abstract |
試料表面から離れた測定点における、誤差を含んだ測定結果から、試料表面の電流密度分布を推定する逆問題の解析手法について検討した。試料表面の要素の電流密度を直接未知パラメータとすると、本問題の悪条件のために解が激しく振動し妥当な解が得られないので、試料表面の電流密度と電位がある関係(分極特性)を満足しなければならないという先験情報だけでなく、試料金属が既知であるのでその分極特性はだいたいこの位だろうというあいまいな先験情報をも利用する新しい逆解析手法を開発した。二,三の解析例により本手法の有効性を示した。 また、上述の逆解析手法の効率化および一般化を図った。すなわち、まず、離散化した線形代数方程式(非線形問題の場合には Taylor 展開して線形化し、繰り返し計算を行う)の係数行列を特異値分解し、小さい特異値を0に置き換えて条件数を低減した後、解集合を Moore‐Penrose の解と零空間の和として求める。次に、あいまいな先験情報を membership 関数とする Fuzzy 集合として表現し、先に求めた解集合との積集合またはその重心を与えられた逆問題の解とする。という解法を提案した。この方法は、測定誤差を安易に考慮に入れることができ、少ない計算時間で解が得られるという特長を持っている。 以上のように、走査型振動電極法においてプローブ自身によって乱された電場の測定結果から、試料表面の電流密度分布を推定するという逆問題を解析するために、本研究では逆解析手法の開発を行い進展が見られたが、実験との比較が十分ではなく、今後の課題として残された。金属表面の近傍においては複雑な電気科学的反応が生起していると考えられるので、その把握とモデル化を急ぐ必要がある。
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[Publications] 天谷賢治,早瀬仁則,植田昌克,青木繁: "逆解析による走査型振動電極腐食評価法の精度向上" 材料. 44-497. 238-242 (1995)
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[Publications] 天谷賢治,青木繁: "解集合と先験情報を利用した逆解析手法" 機械学会論文集(A編). 61-587. 1651-1656 (1995)
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[Publications] 青木繁: "BEMによる腐食問題の解析" 材料学会腐食部門委員会資料. 34-186. 18-28 (1995)
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[Publications] K.Amaya,J.Togashi,S.Aoki: "Inverse Analysis of Galvanic Corrosion Using Fuzzy Apriori Intormation" JSME Int. Journal(Ser.A). 38-4. 541-546 (1995)