Research Abstract |
1.先に開発した化学発光検出高速液体クロマトグラフ(HPLC)によるニトロアレーン(ニトロ多環芳香族炭化水素,NPAH)分析システムと蛍光検出HPLCによる多環芳香族炭化水素(PAH)分析システムを接続して,発癌関連4種NPAH(1,3-ジニトロピレン,1,6-ジニトロピレン,1,8-ジニトロピレン,1-ニトロピレン)及び8種PAH(フルオランテン,ピレン,ベンツ[a]アントラセン,クリセン,ベンゾ[b]フルオランテン,ベンゾ[k]フリオランテン,ベンゾ[a]ピレン,コロネン)の同時分析法を開発し,微量大気浮遊粉じん中の上記12化合物を60分以内に定量分析可能とした。更に,分離・検出条件の改良により,新たに発癌関連ニトロアレーンである2-ニトロピレン,4-ニトロピレン,2-ニトロフルオランテン,3-ニトロフルオランテン及び8-ニトロフルオランテンも分析可能になった。 2.先に開発したニトロアレーン分析用NPLCシステムに,更に送液ポンプと亜鉛充てんカラムを流路切り替えバルブを介して接続することにより,予め水硫化ナトリウムによる還流還元操作を施さなくともニトロアレーンが超高感度で分析可能になった。亜鉛充てんカラムは調製が容易で寿命も比較的長く,これによりニトロアレーン自動分析計完成の見通しが立った。 3.大気浮遊粉じん中から1,3-ジニトロピレン,1,6-ジニトロピレン,1,8-ジニトロピレン,1-ニトロピレンに加えて,新たに2-ニトロピレン,4-ニトロピレン,2-ニトロフルオランテン,3-ニトロフルオランテン及び8-ニトロフルオランテンが検出された。更に,都心に比較して郊外の大気の方が,2-ニトロピレン,4-ニトロピレン,2-ニトロフルオランテンの割合が大きいことより,これらの大気内二次生成・輸送が示唆された。
|