1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610045
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Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
松本 耿郎 英知大学, 文学部, 教授 (00159154)
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Keywords | 神秘主義 / 主観的意識の多層性 / 存在界の多層性 / 意識震度 / 存在震度 / 存在顕現 / メタ言語 / 無分節と有分節 |
Research Abstract |
本年は研究プロジェクトの第二年度にあたり、主として第一年度の研究を継続した。研究活動はおおむね三つの領域に分けることができる。第一は井筒博士が残したアラビア語、ペルシア語の蔵書の調査。第二は井筒博士の研究方法の分析。第三は井筒博士の人となりについての研究である。 第一の蔵書の調査は、前年度から引き続きおこない蔵書中に‘Abd al-Razzaq al-Lahijl: Shawariq al-Ilham(H. 1301-1311, Lithograph, Tehran), Qutb al-Dln al-Shirazi: Sharh Hikmah al-Ishraq(H. 1315, Lithograph, Teheran), Mulla Sadra: al-asfar al-arba‘ah(H.1278, 4vol, Lithograph, Teheran), Ibn Sina: al-Qanun fi al-Tibb(H.1296, Lithograph, Teheran)などの貴重な石板印刷本が含まれていることが分かった。 第二の研究方法の分析では、井筒博士が60歳代のころから発表し始めた比較思想の研究についてさまざまの角度から調査した。井筒博士の比較思想の研究はさまざまの思想の意味論的把握をおこない、それぞれの意味論的構造が相互に類似している点に着目し、その類似性の原因を人間の意識の基本的形態に求めようとするものである。イスラーム神智学、朱子学、老荘思想、ヴェーダンタ哲学などについての横断的研究はこのためにおこなわれたものである。第三の人となりについての研究はMark C. Taylor博士(ウィリアムズ・カッレッジ教授)、James H. Hillman博士(元ユング研究所所長)などとの文通によってそれぞれの現存する人々の井筒博士についての記憶を収集することができた。
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Research Products
(1 results)