1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610074
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Research Institution | Osaka Kyoiku University (Osaka University of Education) |
Principal Investigator |
石田 雅人 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10101263)
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Keywords | クサガメ / フラストレーション / 過剰訓練 / 非媒介型学習 / 注意理論 / 比較学習 |
Research Abstract |
本年度の第1の目的は平成6年度に行った2つの実験結果を総合して、カメにおけるフラストレーションと道具的条件づけとの関連を考察することであった。2つ目の実験において、過剰訓練消去効果(OEE)が見られ、学習へのフラストレーション関与の可能性も考えられた。しかしこの実験結果の詳細な分析とこれまでのカメを用いた報酬の逆説現象の研究結果、特に分散試行条件下での諸結果を併せて考えると、ラットと異なりカメの場合はフラストレーションのような情緒成分を媒介とする学習を支持する実質的な証拠が薄い。むしろ、サカナのような非媒介型の学習で仮定されるCarry‐over(ある種の般化減少)に基づく条件づけにより学習が規定されている可能性が残る。それ故、媒介型と非媒介型を対立させる実験計画を用いた今後の研究が必要とされる。 第2の目的は、過剰訓練逆転効果(ORE)に関する発展的な追加実験を行い、カメの弁別学習の機構を探ることであった。先行実験では、左右の位置を関連手掛かりとするT迷路での弁別課題でORE(及び逆ORE)が見られなかった。注意理論によれば、無関連刺激を増やし、位置弁別学習に特有の運動の自動化を防ぐことにより、OREが生起することを予測する。そこで、白黒のカードを無関連手掛かりとして導入し、反応の自動化を防ぐ目的で出発箱の出口にゴム製のカ-テンを取り付けた。その結果、過剰訓練は逆転弁別の速さに影響することがなく、OREは見られなかった。先行実験と比較すると、原学習の習得が遅れたにもかかわらず、逆転学習が促進された。この事実は注意理論からも解釈されるが、同時に反応負荷の増大がもたらす効果という伝統的な理論的枠組みでも説明され得る。これまでのカメの弁別学習の実験結果からは、『注意過程』の学習への積極的な関与は認められないといえる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ishida,Masato,Doi,Kazuhiro: "Overtraining and reversal learning of spatial discrimination problem with a brightness cue and a movement‐blocking device" Memoirs of Osaka Kyoiku University(Ser. IV). 44. 199-207 (1996)