1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610082
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
亀谷 秀樹 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (20167349)
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Keywords | 睡眠-覚醒 / アセチルコリン / セロトニン / グルタメート / 海馬 / 線状体 / 前頭皮質 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
Jouvetが睡眠のモノアミン仮説を提唱して以来、睡眠-覚醒リズムの神経化学的側面について多くの研究が行われてきたにもかかわらず、いまだ不明の点が少なくない。そこで今回は、睡眠-覚醒リズムに伴う海馬、前頭皮質、線状体内アセチルコリン、セロトニン、グルタメート遊離量をマイクロダイアリシス法およびバイオセンサー法により検討し、以下の知見を得た。 (1)ラット海馬、前頭皮質、線状体のアセチルコリン遊離量は睡眠-覚醒リズムに対応して顕著な変動を示した.アセチルコリン遊離は、徐波睡眠時にもっとも低く、運動を伴う覚醒や、逆説睡眠時にもっとも高かった。運動を伴わない覚醒時の遊離量はこの中間の値を示した。また、動きを伴う覚醒時のアセチルコリン遊離量を詳細に検討すると、locomotion,rearing時には高く、grrooming,eating-drinking時には低かった.逆説睡眠時には、locomotion,rearing時と同程度の高いアセチルコリン遊離が認められた. (2)次いで、海馬におけるアセチルコリン遊離について、サーカディアン・リズムとの関連を検討した.明期及び暗期の同一の睡眠-覚醒ステージにおけるアセチルコリン遊離量を比較すると両者の間に差は見られなかった.以上から、前脳のアセチルコリン系はサーカディアン・リズムによらず、ウルトラディアン・リズムを示す脳波的覚醒に対応して変動することが示唆された. (3)海馬グルタメートの遊離量については、グルタメート・センサーを用いて検討した.その結果、運動活動性の増大に伴って、グルタメート遊離がリアルタイムに増加する所見を得た.現在、さらに詳しくグルタメートの変動を検討中である.また、セロトニンについても、覚醒脳波との相関を得たので、睡眠時の変化について研究を進めている.
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