1996 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会の高齢化にともなう老人期社会化の変容と再構築過程
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06610129
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Research Institution | TOHOKU GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大江 篤志 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30105069)
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Keywords | 老人期社会化 / 青年期進路選択行動 / 過疎-高齢化 / 社会化間相互作用 |
Research Abstract |
地域社会の過疎-老齢化の成立過程を、中学生の進路選択行動とそれにたいする保護者成人層の社会化間相互作用の視点から分析した。対象地域は過疎高齢化の著しい宮城県江島地域である。対象者は昭和30年〜平成5年度までの全卒業生676人(男子332、女子344人)。 1 中学生の進路選択行動の変化;昭和30年代では、就業型が男女共通である。しかし男子では家業従事、就職型、地域残留型、地域構造準拠型であるのに、女子では就職型、地域離脱型、地域構造非準拠型であった。40年代には男子が就職-就業-地域残留-地域構造準拠型、女子が就職-就業-地域離脱-地域構造非準拠型となる。そして50年代以降になると男女ともに進学-学業継続-地域離脱型へと変化する。 2 地域における教育システムの変化;(1)上述の進路選択行動の変化は地域における教育システムの変化、具体的には地域型-学校型複合的教育システムから、学校型教育システムへの変化に起因している、との仮設のもとに、学業成績の変化を分析した。(2)昭和30年代、40年代、50年代と時代が進むにつれ学業成績が上昇している。また女子が男子よりも成績が高い。(3)学業継続型は就業型よりも、また地域離脱型が残留型よりも、そして地域構造準拠型が非準拠型よりも成績が高い。(4)以上から学業成績の上昇的変化は学業継続型進路選択の一般化と対応していると考えられている。 3 青年・成人層の社会化間相互作用の帰結としての地域社会の過疎-高齢化;進路選択行動の変化と学業成績の上昇とは保護者層からのバックアップなくしては生じえない。保護者成人層は自己の老人期が次世代欠如の状態になることを見越しつつ、子ども世代の進路選択を支えた、といえる。現在の過疎-高齢化は、青年層の他出だけでなく、それを支えた当時の保護者(現在の老人層)自身の老人期の変容と引き換えによって成立したのである。
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Research Products
(1 results)