1995 Fiscal Year Annual Research Report
情動調律に関する発達心理学的研究-祖母・母親・子どもの相互情動性を中心に-
Project/Area Number |
06610138
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浜 治世子 同志社大学, 文学部, 教授 (60066107)
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Keywords | 情動調律 / 共感性 / 三世代同居家族 / 祖母 / 母親 |
Research Abstract |
本研究は情動調律の問題を検討した。情動調律とは個人と個人の間の情動的な調律がされていることをいう。この問題を、二世代家族と三世代同居家族の子どもを対象にして、幼児および乳児の泣き声や笑い声に対する反応を調べることを通じて検討した。 被験児は京都市内の私立幼稚園に通う二世代家族の子ども17名(男児9名、女児8名)、三世代家族の子ども12名(男児5名、女児7名)であった。年齢範囲は4歳5カ月-6歳3カ月であった。幼児の泣き、幼児の笑い、乳児の泣き、乳児の笑いの4種類の音声刺激を、実験室のスピーカーから流し、その際の子どもの反応を調べた。その際実験者は次のような教示をした。「実験室の下の部屋に他の子どもが来ていて、その子どもの声が、スピーカーから聞こえてきます。カメラに向かって話をすると、あなたの声が下の部屋にいる子どもに聞こえ、顔が見えるようになっています。声を聞きたくないときは、ボタンを押すと聞こえなくなり、もう一度押すとまた聞こえるようになります。」 被験児は4種類全ての音声刺激の提示を受けた。乳児の笑い声は必ず最後に提示された。分析は幼児の泣き声、乳児の笑い声、乳児の泣き声に対する被験児の反応を対象とした。その結果、三世代家族の女児は、刺激が泣き声の場合にはなだめる反応が多かった。一方、二世代家族の女児は、とくに幼児の声に対して話しかけることが少なかった。以上のように子どもの情動調律に関して、家族形態や性別による違いが示唆された。
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